不動産の共有者が所在不明になったらどうする?裁判所に申し立てて持分を取得できるかも!
不動産を共有しているとき、他の共有者と連絡が取れなくなったり、存在が分からなくなったりすることはありませんか?そんなとき、自分だけで不動産を売却したり、管理したりすることはできません。では、どうすればいいのでしょうか?
実は、裁判所に申し立てをすることで、所在等不明共有者の持分を取得したり、譲渡したりすることができる場合があります。これは、民法第258条から第262条の3までに定められた制度です。この制度を利用するには、どんな手続きが必要なのでしょうか?今回は、その概要をご紹介します。
所在等不明共有者の持分を取得する場合
まず、所在等不明共有者の持分を取得する場合です。これは、自分が他の共有者の持分を買い取ることで、自分が全ての持分を持つようにする方法です。この場合には、裁判所に申し立てをして、所在等不明共有者の持分の取得の裁判(以下「持分の取得の裁判」といいます。)をしてもらう必要があります。
持分の取得の裁判では、裁判所は、申し立て人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じます(非訟事件手続法(以下「非訟法」という)第87条第5項)。この命令を「供託命令」といいます。供託命令に従わないときは、申し立てが却下されます(同条第8項)。
供託命令に基づく供託は、所在等不明共有者がその持分を失うことによって生ずる損失の填補を図るものです。そのため、所在等不明共有者は、持分の取得の裁判の効力が発生したとき(持分の取得の裁判が確定したとき)から供託金還付請求権を行使することができます。この場合には、「還付を受ける権利を有することを証する書面」として、自己が所在等不明共有者と同一人であることや持分の取得の裁判が確定したことを証する書面を添付する必要があります。
所在等不明共有者の持分を譲渡する場合
次に、所在等不明共有者の持分を譲渡する場合です。これは、自分が他の共有者に対してその持分を譲渡する権限を得ることで、自分以外の誰かに全ての持分を譲渡する方法です。この場合には、裁判所に申し立てをして、所在等不明共有者の持分の譲渡権限の付与の裁判(以下「持分の譲渡権限の付与の裁判」といいます。)をしてもらう必要があります。
持分の譲渡権限の付与の裁判では、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をします(民法第262条の3第1項)。
持分の譲渡権限の付与の裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができます(民法第262条の3第3項)。また、供託命令に基づく供託は、所在等不明共有者がその持分を失うことによって生ずる損失の填補を図るものです。そのため、所在等不明共有者は、持分の譲渡権限の付与の裁判の効力が発生したとき(持分の譲渡権限の付与の裁判が確定したとき)から供託金還付請求権を行使することができます。この場合には、「還付を受ける権利を有することを証する書面」として、自己が所在等不明共有者と同一人であることや持分の譲渡権限の付与の裁判が確定したことを証する書面を添付する必要があります。
まとめ
以上が、不動産の共有者が所在不明になった場合に裁判所に申し立てて持分を取得したり、譲渡したりする方法です。
この制度は、不動産の共有関係を解消しやすくすることで、不動産市場の活性化や紛争の防止に寄与するものです。もし、あなたも不動産の共有者と連絡が取れない場合は、この制度を利用してみてはいかがでしょうか?
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