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2024/12/12
民事信託は、個人の財産管理や承継において柔軟な手段として注目されています。しかし、そのプロセスは複雑であり、専門家の支援が不可欠です。今回は、民事信託の相談から委任契約締結までの流れについて詳しく解説します。
民事信託を考える際、最初のステップは相談です。相談者は、必ずしも最初から民事信託を希望しているわけではなく、問題の整理ができていないこともあります。司法書士は、相談者の親族関係、財産状況、収支状況、法的問題、身上保護の問題、将来の希望などを整理し、民事信託が問題解決に寄与するかを見極めます。適していると判断した場合、民事信託支援業務の概要を説明し、事前調査へと進みます。
民事信託の設計には、まず当事者の親族関係を確定する必要があります。また、信託財産に含める予定の財産(信託予定財産)を確定するため、権利関係や現況の調査が必要です。具体的には、戸籍や住民票、不動産登記情報、固定資産評価証明書などを確認します。信託予定不動産については、現地調査を行い、物件状況を把握することが望ましいです。
調査の結果、信託の登記に先立ち、建物表題登記や所有権登記名義人住所変更登記、相続登記が必要な場合は、相談者に事前に説明します。
事前調査で得た資料を基に、相談者の問題解決のための手段を協議し、費用の概算を提示します。信託は財産管理の制度であり、身上保護の制度ではないため、後見制度との併用を検討する必要がある場合もあります。例えば、委託者や受益者に高齢者や障がい者が含まれる場合です。
また、信託できない財産(年金受給権など)が含まれる場合、後見制度や遺言との併用も検討します。
委託者の身上保護や信託しなかった財産の管理処分のために法定代理人が必要な場合、信託と後見制度を併用します。後見制度には、任意後見と法定後見の2種類があります。
任意後見契約では、受託者が任意後見人として就任する場合、利益相反関係が生じる可能性があり、慎重な対応が求められます。法定後見制度では、家庭裁判所が弁護士を成年後見人として選任することが多いです。
民事信託は、個人の財産管理において非常に有用な手段ですが、そのプロセスは複雑です。相談から契約締結までの各ステップで、専門家の支援を受けることが重要です。特に、後見制度や遺言との併用を検討する際には、法的な知識と経験が求められます。
このように、民事信託を活用することで、個人の財産管理がより柔軟かつ効果的に行えるようになります。司法書士などの専門家と連携し、適切な手続きを進めることが、成功への鍵となります。
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