前回の大量破壊兵器関連計画等関係者等リストの変更に関連して、公証役場で行う定款認証に関して、実質的支配者申告書の様式が変更になりました。
様式変更の内容
内容としては、国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(令和4年法律第97号)の施行に伴い、公証人法施行規則の一部改正(以下「規則改正」という。)がなされ、本年6月1日から施行されました(本年5月31日付け官報告示)。
規則改正の内容は、公証人が株式会社並びに一般社団法人及び一般財団法人(以下「株式会社等」という。)の定款の認証を行う際に実質的支配者に関して嘱託人に申告させるべき事項及び説明を求める事項の対象に、財産凍結法第3条第2項の規定により公告されている者(大量破壊兵器関連計画等関係者)を追加するというものです。
様式変更の理由
この規則改正は、国際テロリズムや大量破壊兵器の開発等に関与する者の資金源を断つことを目的とした国際的な取組に対応するものであり、株式会社等の設立や変更において、公証人が実質的支配者についてより厳格な確認を行うことが求められます。実質的支配者とは、株式会社等の経営方針や事業運営に重大な影響力を有する者であり、具体的には、株式会社等の株式又は出資金の25%以上を直接又は間接的に所有し、又は支配する者や、株式会社等の役員や代表権を有する者などが該当します。
規則変更の影響
規則改正により、嘱託人は、株式会社等の定款認証を行う際に、実質的支配者申告書を提出し、実質的支配者が財産凍結法第3条第2項の規定により公告されている者であるか否かを申告しなければなりません。また、公証人は、嘱託人から実質的支配者申告書を受け取った場合には、その内容を確認し、必要があれば嘱託人に対して説明を求めることができます。さらに、公証人は、実質的支配者が財産凍結法第3条第2項の規定により公告されている者であることが判明した場合には、その旨を表明保証書に記載することとされています。
規則変更の適用
規則改正は、本年6月1日から施行されましたが、同日以前に嘱託人が株式会社等の定款認証を行うに際して、実質的支配者申告書及び表明保証書を用いることができます。なお、規則改正に伴い、公証人法施行規則の一部改正に関する告示(令和4年法務省告示第1号)及び公証人法施行規則の一部改正に関する告示(令和4年法務省告示第2号)が公布されましたので、併せてご参照ください。
以上が、規則改正の概要です。このブログでは、規則改正の背景や目的、内容や手続きなどについて分かりやすく解説しました。規則改正は、国際テロリズムや大量破壊兵器の開発等に対する国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するものであり、株式会社等の設立や変更に関係する方々にとって重要なものです。規則改正について十分な理解と準備をしていただきたいと思います。
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