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財産調査について(法定後見)

2019/12/02

財産調査について

法定後見の財産調査

成年後見人に就任すると,本人の財産を調査し,家庭裁判所に報告する必要があります。
民法には,

(財産の調査及び目録の作成)
第八百五十三条 後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。

と定められており,成年後見人に就任してもっとも忙しい時期の一つがこの就任後1か月の期間だといわれています。

 

調査方法

どのような財産を持っているのか本人に確認することができれば一番いいのですが,認知症が大分進んでいる場合,家族やヘルパーさんなどが把握していないときは,成年後見人が自分で調べなければなりません。
調査の方法については,それぞれの後見人独自の方法によって調査しますが,だいたい次のような方法をとっているようです。

1.市町村役場で取得できる証明書を活用する
2.預貯金通帳を確認する
3.郵便物を確認する

このほかに各種契約書や約款の存在等からも財産の存在をたどることができます。

 

 

市町村役場で取得できる証明書を活用する

財産調査をする上で,市町村役場で取得できる証明書としては,次のような証明書があります。
1.所得証明書・課税証明書
2.固定資産(土地・建物)の評価証明書・公課証明書
3.軽自動車税の納税証明書

このうち,もっとも活用する証明書は,2の固定資産の評価証明書・公課証明書です。
証明書を請求した市町村に不動産がある場合は,この評価証明書・公課証明書に不動産の所在や評価額が示されるため,大変重宝します。

次によく使用するのが,所得証明書・課税明細書です。
所得証明書を取得することで,だいたいの収入額がわかります。
この証明書を取得する一番の理由は,預貯金通帳とつきあわせることで,別口座の存在が確認できるかもしれない,ということです。
また,課税明細書を確認することで,昨年度などの税務申告の状況が推認できます。
本人,ご家族が医療費を多く支払われていたということを,ヘルパーさんから聞いた場合などは,医療費控除により,税金の還付が受けられないか検討するために,活用することがあります。

軽自動車税の納税証明書については,自宅裏に止めてあるバイクを確認したり,「以前乗っていた」といったことを聞いた場合に取得しています。
早く手続をすることによって,次年度以降,無駄に税金を支払わなくてもいいようにするためです。

 

 

預貯金通帳を確認する

財産調査をする上で,預貯金通帳から次のことを確認しています。
1.所得・収入額
2.月々の支出額
3.自動引き落とし・自動振替されている項目
4.その他の振込・振替

毎月・毎年の所得・収入額,支出額の確認によって所有する財産を推認することができます。

預貯金通帳の中でもっとも重要視しているのが,自動引き落とし・自動振替されてる項目です。
この項目から,定期預金の積立,生命保険料の振込,ローンの存在などがわかります。

次に重要なのが,その他の振込・振替による支出です。
過去に遡れば,証券会社との取引や葬儀会社への積立などがわかることがあります。

 

 

郵便物を確認する

意外に重要なのが,郵便物を確認することです。
定期預金の自動更新や年次の利息報告,証券会社からの資産運用報告なども郵便で届くため,しっかりとチェックすることが重要です。
年に一度程度の郵便による通知から,思わぬところの財産が発覚することもあります。

 

 

財産目録の作成について

財産目録

前述したとおり,成年後見人には財産目録を作成して,家庭裁判所に提出する義務があります。
これは,本人の財産を特定し,適切に管理するために必要な作業です。

就任後すぐに財産目録を作成して,本人の財産を家庭裁判所に報告し,一定期間経過(概ね一年)ごとに適切に管理運営ができていることを家庭裁判所に報告するために,財産目録を作成して報告します。

この財産目録は,家庭裁判所が成年後見人の仕事ぶりを確認する基礎資料になります。
財産目録をいい加減に作成すると,成年後見人の仕事に支障を来したり,家庭裁判所から管理不十分だと判断され,解任されたりすることにも繋がりかねません。
また,財産の特定が不十分であれば,後日思わぬ形で,本人の財産を損ってしまい,横領だといわれる可能性も出てきます。

 

 

当事務所でお手伝いできること

当事務所では,成年後見人に就任された方のお手伝いをしております。

・財産調査のお手伝い
・財産目録の作成
・法定後見(後見・保佐・補助)の各種報告書類の作成
・その他法定後見のお手伝い・相談

ご依頼者様のご要望に応じて対応させていただきますので,お気軽にお声かけ下さいませ。

 

 



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