相続で妻が取得した金銭を、夫名義で購入している居住用不動産の住宅ローンの返済に充てることは、贈与になりますか? A. 通常、相続で妻が取得した財産は、特有財産にあたり、夫名義の住宅ローンの返済に充てることは、贈与になります。 そのため、年間110万円の基礎控除額を超える額を返済に充当するのであれば、贈与税の申告が必要になると考えられます。 (夫婦間における財産の帰属) 第七百六十二条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。 ただし、上記の基礎控除額を超える場合でも、下記の場合であれば贈与税の納付を免れる可能性があります。 ・婚姻後20年を経過しており、居住用不動産の取得資金に充当し、翌年3月15日までに入居、その後も引き続き居住する場合(贈与税の申告は必要) ・交付する金銭に相当する不動産の持分を妻に移転する場合 ・妻から夫に対して金銭を貸し付けた形を取る場合 など ・妻から夫に対して金銭を貸し付けた形を取る場合 妻から夫に対して金銭を貸し付ける形を取る場合、返済に充当した金銭すべてが贈与であると判断されないために注意が必要です。 基本的に夫と妻の間で無償、無利子で貸与があった場合、利益を受けた範囲で贈与があったと取り扱われるからです。 そのため、 ・金銭の貸し付けであって、返済の約束が明確化されている ・利益を受ける範囲を明確化する ことが重要です。 夫婦間のお金の貸し借りであっても、金銭消費貸借契約書を取り交わし(貸し借りする金銭に応じて、印紙を貼ってください。)、返済約束として、住宅ローン返済相当額を毎月返済すると明記することで、利益を受ける範囲が毎年返済時に支払っていた住宅ローンの利息相当額である等、明確化することで税務署から贈与税の申告が必要ではないですか?との問い合わせが来たときに、この金銭の貸し借りによって、利益を受けた範囲が利息相当額であるため贈与税の申告は不要であると主張する証拠の一つにできます。 当事務所では、上記のような金銭消費貸借契約の作成を承ることができますが、贈与税の申告については、詳しくは税務署または税理士にお問い合わせください。 #相続で取得した財産 #居住用不動産の住宅ローン #金銭消費貸借
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