契印廃止!供託書正本の様式が変更されます - 電子化時代の新たな公文書管理
法務省民事局商事課から「供託書正本等における契印の省略について」のお知らせが発表されました。2023年2月20日から、供託書正本や供託通知書における従来の契印(複数ページをつなぐ公印)が廃止され、新たな方式に変更されることになります。この記事では、その変更内容と影響について解説します。
本記事のポイント:
- 2023年2月20日から供託書正本等の契印が廃止
- 新たに特定の記号・番号とページ数を印字する方式に変更
- 用紙は従来通り偽造防止用の地紋紙を使用
- 登記事項証明書に続く、法務局文書の電子化・簡素化の流れ
- 供託制度の概要と重要性
契印廃止の概要
法務省民事局商事課からの通知によると、供託書正本または供託通知書が複数ページにわたる場合、従来は以下のいずれかの方法で各ページの関連性を証明していました:
- 供託官の職印による契印(ページをまたぐように押印)
- 打抜機による特定の記号の形の穴を全用紙に一括してせん孔
2023年2月20日からは、これらの方法に代えて、各ページの右下部に特定の記号・番号およびページ数・総ページ数を印字する方法が採用されます。これは供託事務取扱手続準則第36条第2項に基づく変更です。
なお、供託書正本等は従来通り、登記事項証明書と同じ偽造防止用の地紋紙に印刷されます。
契印とは
契印(けいいん)とは、複数ページからなる文書の各ページの継続性と一体性を証明するために、ページの継ぎ目をまたいで押される公印のことです。これにより、ページの差し替えや改ざんを防止する役割を果たしてきました。
デジタル技術の発展により、特定の記号・番号やページ番号の印字など、より効率的かつ確実な方法が採用されるようになり、従来の契印に代わる新しい公文書管理の手法として広まっています。
供託制度について
供託とは、金銭や有価証券などを国家機関である供託所(法務局・地方法務局)に提出して、その管理を委ね、最終的には供託所がその財産を特定の人に取得させることで、法律上の目的を達成するための制度です。
供託が認められる場合
供託は、法令(民法、会社法、民事訴訟法、民事執行法等)の規定によって、義務付けられている場合または許容されている場合に限り認められます。
供託の種類
主な供託の種類には、弁済供託、保証供託、執行供託、保管供託などがあります。例えば、債権者が受け取りを拒否した場合や債権者が不明な場合の弁済供託、裁判所の仮差押命令に対する担保としての保証供託などがあります。
供託手続きの流れ
供託手続きは、供託書の提出、供託物(金銭・有価証券等)の納付、審査、供託書正本の交付という流れで行われます。契印が省略される供託書正本は、この手続きで供託者に交付される重要な証明書です。
供託制度の重要性
供託制度は、日常的に利用する機会は多くありませんが、法的紛争の解決や権利保全のために重要な役割を果たしています。例えば:
- 賃貸借契約終了時の敷金返還トラブルの解決
- 債権者不明や受領拒否の場合の債務の消滅
- 競売や仮差押えにおける担保の提供
- 記名株式の質入れにおける第三者対抗要件の具備
- 休眠担保権抹消のための供託
これらは国民の権利保全等のため、日本の法制度の中で重要な位置を占めています。
法務行政における電子化・簡素化の流れ
今回の契印廃止は、法務行政における手続きの電子化・簡素化の流れの一環といえます。従来、登記事項証明書も供託書正本と同様に契印が押されていましたが、電子化に伴い既に廃止されています。
法務省では、デジタル社会の形成に向けた取り組みとして、各種手続きのオンライン化や書類の簡素化を進めています。こうした変更は、業務効率の向上だけでなく、利用者の利便性向上にも寄与するものです。
オンライン申請の推進
供託手続きを含む法務局手続きは、順次オンライン申請が可能になっています。これにより、窓口への来庁が不要となり、24時間いつでも申請可能になるなど、利便性が向上しています。
書類の簡素化
契印廃止のような書類の簡素化は、業務効率の向上だけでなく、環境負荷の低減にも寄与します。また、電子的な管理によって、より確実な文書の真正性確保が可能になります。
まとめ
2023年2月20日から、供託書正本等における契印が廃止され、各ページの右下部に特定の記号・番号およびページ数・総ページ数を印字する新たな方式に変更されます。この変更は、法務行政における手続きの電子化・簡素化の流れの一環であり、業務効率の向上と利用者の利便性向上を目指すものです。
今後も、法務省ではさまざまな手続きの簡素化や電子化が進められる予定です。最新の情報は、法務省ホームページで確認することができます。

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