解決事例:【突然の連絡】交流のない遠方親族の相続で、借金を負わずに済んだ事例

解決事例:【突然の連絡】交流のない遠方親族の相続で、借金を負わずに済んだ事例

解決事例:【突然の連絡】交流のない遠方親族の相続で、借金を負わずに済んだ事例

作成日:2020年2月29日
最終更新日:2025年11月15日

1.はじめに ─ 見知らぬ親族の相続、突然の通知の背景

ある日突然、見知らぬ人から「あなたが相続人です」という通知が届くことがあります。これは、遠方に住んでいたり、普段交流がなかったりする親族が亡くなり、その相続権が巡ってきたケースです。当事務所にも、「親族にそんな人がいたことも知らなかった」といった驚きの声とともに、ご相談が寄せられることが少なくありません。
今回の事例のB様も同様でした。数年前に亡くなった疎遠な叔父様の死亡をきっかけに、B様に相続権があることが判明したのです。

2.お悩みの具体例 ─ 「借金を負いたくない!」という切実な不安

B様のご心配は、非常に切実なものでした。
「叔父がどんな生活をしていたのか、全くわかりません。事業をしていたと聞いたこともあり、もしかしたら多額の借金があるかもしれない。 会社や個人の保証人になっていた可能性も否定できない。交流のない親族の借金まで背負うのは絶対に避けたい。」
この不安はもっともです。日本の法律では、故人の財産(プラスの資産もマイナスの負債もすべて)は包括的に相続人に引き継がれます。特に何の手続きも取らなければ、自動的に「単純承認」となり、借金も含めて問答無用で相続することになってしまうのです。

3.問題点の把握 ─ 相続の「単純承認」と3ヶ月の期限

相続で借金を負わないために、日本の法律で認められている方法は主に二つ、「相続放棄」と「限定承認」です。しかし、これらの手続きには非常に重要な制約があります。
それは、相続開始を知った日から「3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述手続きを開始しなければならないという期限です。
B様のように突然通知を受けた場合、この3ヶ月の間に故人の財産状況を調査し、対応を決定するのは非常に困難です。また、誤った認識で「相続しない」と関係者に口頭で伝えただけで安心していると、知らぬ間に期限が過ぎてしまい、借金を相続したとみなされるリスクがあります。

4.解決策の検討 ─ 「相続放棄」と「限定承認」の選択肢

B様が借金を回避するための選択肢は以下の通りです。

  1. 相続放棄: 財産も借金も一切合切相続しない方法です。手続きは家庭裁判所への申述が必要です。
  2. 限定承認: 財産の範囲内でのみ借金を弁済し、もしプラスの財産が残ればそれを相続し、借金が上回っても相続人が負担を求められない方法です。

5.解決ポイント ─ 期限延長と司法書士による迅速な調査

B様のケースでは、3ヶ月の期限が迫っており、まずは迅速に手続きを開始することが最大の解決ポイントでした。
当事務所では、すぐに家庭裁判所へ相続の承認又は放棄の期間伸長の申立てを行い、裁判所の許可を得て期限を延長しました。これにより、B様は焦ることなく、故人の財産調査に集中できる時間的猶予を得ることができました。
司法書士は、債権者からの督促状や故人の遺品などから情報を集め、信用情報機関への照会なども含めて迅速に借金・保証債務の有無を調査しました。

6.限定承認の難しさと相続放棄の実行

調査の結果、叔父様にはいくつかの保証債務が存在する可能性が高いことが判明しました。
ここで「限定承認」も選択肢に入りますが、限定承認は相続人全員で行う必要があり、交流のない他の相続人全員の足並みを揃えることが非常に困難であるというデメリットがあります。
B様は、手間やリスクを考慮し、「プラスの財産が不明確な状態で関わりを増やしたくない」と判断し、相続放棄を選択されました。当事務所が作成した正式な申述書類を家庭裁判所に提出し、無事に相続放棄が受理され、叔父様の借金を負うことなく、問題は解決しました。

7.まとめ ─ 生兵法は危険!早期相談が借金回避の鍵

この事例が示す教訓は、相続手続きは生兵法で判断するのが最も危険であるということです。特に「借金があるかもしれない」という不安がある場合、自己判断で期限を徒過させてしまうと、取り返しがつかなくなります。
相続放棄も限定承認も、相続開始から3ヶ月という短い期限が設けられています。

  • 何から手をつけて良いか分からない。
  • 3ヶ月の期限が迫っている。
  • 財産の全貌が掴めない。

このような状況に直面したら、まずは法律の専門家である司法書士に相談し、期限延長の手続き迅速な財産調査を依頼することが、借金回避の最も確実な方法です。当事務所でも無料相談を承っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 和田正俊事務所 代表和田 正俊(Wada Masatoshi)

  • 滋賀県司法書士会所属 登録番号 滋賀第441号
  • 簡裁訴訟代理関係業務 認定番号 第1112169号
  • 滋賀県行政書士会所属
    登録番号 第13251836号会員番号 第1220号
  • 公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート滋賀支部所属
    会員番号 第6509213号
    後見人候補者名簿 及び 後見監督人候補者名簿 搭載
  • 法テラス契約司法書士
  • 近畿司法書士会連合会災害相談員

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