春の引越しシーズン、空き家になった実家の対処法

春の引越しシーズン、空き家になった実家の対処法

春の引越しシーズン、空き家になった実家の対処法

最終更新日:2026年3月23日

新生活の今こそ考える「空き家の実家」問題|司法書士が教える3つの対処法

はじめに:ご自身の引越しが終わった今、気になる「空き家の実家」

春は、就職、転勤、ご結婚など、新しい生活が始まる季節ですね。ご自身の引越しがようやく一段落した今、ふと「誰も住んでいない実家、これからどうしよう…」という、新たな悩みが頭をよぎってはいませんか?

親御様が施設に入居されたり、残念ながらお亡くなりになったりして、突然「空き家」となった実家。思い出が詰まった大切な場所だからこそ、すぐには決断できず、つい先延ばしにしてしまうお気持ちは、痛いほどよく分かります。

しかし、空き家をそのまま放置しておくことには、あなたが思う以上に様々なリスクが伴います。この記事では、空き家を放置する具体的なリスクと、あなたの状況に合った3つの対処法、そして何よりも先にやるべき法的手続きについて、司法書士が分かりやすく解説します。この春を、実家問題解決のスタートにしましょう。


第1章:なぜ「今」動くべき?空き家を放置する見過ごせない3大リスク

「しばらくは大丈夫だろう」という油断が、後々大きなトラブルにつながることがあります。まずは、空き家を放置することで起こりうる、代表的な3つのリスクを知ってください。

リスク①:経済的リスク(お金の問題)

  • 固定資産税の負担増:誰も住んでいなくても、所有している限り固定資産税は毎年かかります。さらに、倒壊の危険などがある「特定空家」に指定されてしまうと、税金の優遇措置が受けられなくなり、税額が最大6倍になる可能性があります。
  • 維持コストの発生:火災保険料や、水道・電気の基本料金、庭の草刈りを業者に頼む費用など、目に見えにくい維持費が継続的にかかり続けます。

リスク②:物理的・防犯上のリスク(安全の問題)

  • 建物の老朽化と倒壊:適切な管理がされない家は急速に傷みます。台風や地震で屋根瓦が飛んだり、最悪の場合は倒壊したりして、近隣に被害を与えてしまう恐れがあります。
  • 犯罪の温床化:人の出入りがない家は、空き巣や不審者の侵入、放火、ゴミの不法投棄などのターゲットになりやすくなります。
  • 近隣トラブル:伸び放題の雑草や木の枝が隣家にはみ出したり、害虫が発生したりして、ご近所との関係が悪化するケースも少なくありません。

リスク③:法的リスク(法律の問題)

  • 【最重要】相続登記の義務化:2024年4月1日から、相続登記が法律で義務化されました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される可能性があります。
  • 所有者としての賠償責任:もし、実家のブロック塀が倒れて通行人が怪我をした場合など、その損害賠償責任は所有者であるあなたが負うことになります。

第2章:あなたの実家に最適なのは?3つの選択肢をメリット・デメリットで徹底比較

リスクを理解した上で、次にご自身の状況に合った具体的な対処法を考えていきましょう。選択肢は大きく分けて3つです。

選択肢① 売却する② 賃貸に出す③ 管理する
メリット
  • まとまった現金が手に入る
  • 将来の負担や不安から解放される
  • 相続税の特例を使える可能性
  • 継続的な家賃収入が得られる
  • 家を手放さずに済む
  • 将来の活用可能性を残せる
  • 将来自分が住む選択肢を残せる
  • 子どものために資産を残せる
  • 思い出の場所を維持できる
デメリット
  • 思い出の家がなくなる
  • 買主が見つかるまで時間がかかる場合がある
  • リフォーム費用がかかる
  • 入居者トラブルや家賃滞納リスク
  • 物件管理の手間がかかる
  • 固定資産税や維持費がかかり続ける
  • 定期的な管理の負担が大きい
司法書士のワンポイント相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる税金の特例を使える可能性があります。安定した賃貸経営のためには、賃貸借契約書の作成や敷金・原状回復に関するルールなど、法的な知識が不可欠です。ご自身での管理が難しい場合は、月額数千円から利用できる「空き家管理サービス」の活用も有効な手段です。

第3章:【司法書士が解説】売るにも貸すにも必須!すべての始まりは「相続登記」から

「売却」「賃貸」「管理」の3つの選択肢を見てきましたが、実は、どの道を選ぶにしても、絶対に避けて通れない、すべてのスタートラインとなる手続きがあります。それが「相続登記」です。

なぜ相続登記が最初の一歩なのか?

答えはシンプルです。亡くなった親御様名義のままでは、その不動産に関してあなたは何もできないからです。

  • 不動産を売却する契約を結べない
  • アパートとして賃貸契約を結べない
  • リフォームローンを組むために担保に入れることもできない

つまり、実家の名義を、法律上の正式な所有者である相続人(あなた)に変える「相続登記」を完了させなければ、次の一歩に全く進めないのです。

相続登記の義務化、もう他人事ではありません

前述の通り、2024年4月から相続登記は「義務」となりました。「いつかやろう」は、もう通用しません。特に、相続人がご兄弟など複数いる場合は、全員で話し合い(遺産分割協議)をして、誰の名義にするかを決める必要があります。時間が経てば経つほど、相続人の誰かが亡くなってさらにその子どもが相続人になるなど、関係者がネズミ算式に増え、手続きがどんどん複雑になってしまいます。

司法書士にお任せください

相続登記には、亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を集めたり、法務局に提出する専門的な書類を作成したりと、非常に手間と時間がかかります。私たち司法書士は、こうした複雑な書類の収集・作成から法務局への登記申請まで、面倒な手続きをワンストップで代行できる不動産登記の専門家です。


まとめ ~不安を安心に変え、新たな一歩を踏み出す春に~

空き家になった実家は、思い出が詰まっているからこそ、悩みも深いものです。しかし、問題を先送りにすることは、リスクを増やすことにつながります。この春を、行動を起こすきっかけにしてください。

対処法には「売却」「賃貸」「管理」の3つの道がありますが、その大前提として、まずは「相続登記」を済ませることが不可欠です。

「何から手をつければ良いか分からない」「相続人が多くて話し合いがまとまらない」など、一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。あなたの状況を丁寧にお伺いし、最適な道筋を一緒に見つけることが、その不安を「安心」に変える第一歩です。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 和田正俊事務所 代表和田 正俊(Wada Masatoshi)

  • 滋賀県司法書士会所属 登録番号 滋賀第441号
  • 簡裁訴訟代理関係業務 認定番号 第1112169号
  • 滋賀県行政書士会所属
    登録番号 第13251836号会員番号 第1220号
  • 公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート滋賀支部所属
    会員番号 第6509213号
    後見人候補者名簿 及び 後見監督人候補者名簿 搭載
  • 法テラス契約司法書士
  • 近畿司法書士会連合会災害相談員

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