相続発生後の手続き完全ガイド - 期限と窓口一覧
相続が発生すると、様々な手続きが必要になります。故人の死亡届の提出から始まり、公的機関への届出、財産の名義変更、税金の申告まで、多岐にわたる手続きを適切な時期に行わなければなりません。特に期限が定められているものや、一度決断すると変更できないものもあるため、計画的に進めることが重要です。
この記事では、相続発生後に必要な主な手続きを時系列と種類別に整理し、その期限や窓口、必要書類などを詳しく解説します。
本記事のポイント:
- 相続発生後の手続きを期限別・種類別に整理
- 各手続きの期限と窓口を一覧化
- 特に重要な期限つき手続きの注意点
- 財産種類別の名義変更方法
- スムーズな相続手続きのためのチェックリスト
相続後に必要な各種手続き一覧
期限のある重要な手続き
相続が発生した後には、役所関係から税金・財産名義変更まで実に多くの手続きが必要になります。手続きの中には明確な期限が定められていたり、やり直しの効かないもの(例:相続放棄など)もあるため、計画的に漏れなく進めることが大切です。
以下の表は、特に重要な期限付き手続きを時系列順にまとめたものです。期限を過ぎると権利が消滅したり、ペナルティが科されたりする可能性があるため、注意が必要です。

期限が特に重要な手続きTOP3:
- 相続放棄・限定承認(3ヶ月以内):期限を過ぎると原則として相続放棄ができなくなります
- 死亡届(7日以内):法律で定められた期限内に提出する必要があります
- 相続税の申告と納税(10ヶ月以内):期限を過ぎると加算税や延滞税が発生します
【役所・財務関係】
手続 | 期限 | 窓口・ポイント |
---|---|---|
死亡届・火葬許可申請 | 7日以内 | 市区町村役場(住民課等) ※死亡診断書または死体検案書が必要 |
世帯主変更届 | 14日以内 | 市区町村役場(住民課等) ※世帯主であった方が亡くなった場合に必要 |
葬祭費申請 | 2年以内 | 市区町村役場(国民健康保険) ※3〜5万円程度支給される場合あり |
埋葬料・埋葬費・家族埋葬料 | 2年以内 | 社会保険事務所(社会保険) ※健康保険加入者が対象 |
年金受給者死亡届 | 14日以内 | 市区町村役場・社会保険事務所 ※未支給年金の請求手続きも同時に行うと便利 |
遺族基礎年金・寡婦年金 | 5年以内 | 市区町村役場(国民年金) ※条件に当てはまる遺族が対象 |
死亡一時金 | 2年以内 | 市区町村役場(国民年金) ※年金受給前に死亡した場合に対象 |
遺族厚生年金 | 5年以内 | 社会保険事務所(厚生年金) ※被保険者期間等の条件あり |
高額療養費 | 診療月翌日から2年以内 | 市区町村役場・社会保険事務所・組合健康保険窓口 ※医療費が高額だった場合に払い戻しあり |
生命保険・死亡保険金 | 3年以内 | 生命保険会社 ※契約内容の確認が必要 |
簡易保険・死亡保険金 | 5年以内 | かんぽ生命(郵便局) ※契約内容の確認が必要 |
【法律・税金関係】
手続 | 期限 | 窓口 |
---|---|---|
遺言書の検認 | 遅滞なく | 家庭裁判所 ※公正証書遺言以外は検認が必要 |
相続放棄・限定承認 | 3ヶ月以内 | 家庭裁判所 ※被相続人の債務が多い場合に検討 |
所得税・消費税 準確定申告 | 4ヶ月以内 | 税務署 ※確定申告が必要な方が対象 |
相続税の申告と納税 | 10ヶ月以内 | 税務署 ※基礎控除超の遺産がある場合 |
相続放棄について重要な注意点:
相続放棄は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。この期間を過ぎると原則として相続放棄はできなくなります。相続財産に多額の債務(借金)がある可能性がある場合は、まず相続財産の調査を行い、早めに専門家に相談することをお勧めします。
なお、相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったものとみなされ、遺産を一切相続できなくなります(プラスの財産もマイナスの財産も相続しない)。
【財産名義変更関係】
財産 | 変更窓口 | 必要書類(基本) |
---|---|---|
不動産(土地・建物) | 法務局 不動産登記部門 | ・相続登記申請書 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式 ・相続人全員の戸籍謄本 ・遺産分割協議書(遺言書がない場合) ・固定資産評価証明書 |
預貯金 | 各金融機関(銀行・ゆうちょ銀行・信用金庫など) | ・被相続人の死亡を証明する書類 ・相続人を証明する戸籍謄本等 ・遺産分割協議書(遺言書がない場合) ・相続人全員の印鑑証明書 ・相続人の本人確認書類 |
株式・債券・投資信託 | 証券会社・信託銀行等で口座開設機関 | ・被相続人の死亡を証明する書類 ・相続人を証明する戸籍謄本等 ・遺産分割協議書(遺言書がない場合) ・相続人の印鑑証明書 ・相続人の本人確認書類 |
自動車(車検証) | 陸運局 | ・移転登録申請書 ・相続を証明する書類 ・車検証 ・自動車税納税証明書 ・相続人の印鑑証明書 |
電気・ガス・NHK・電話等 | 各契約先の窓口 | ・契約者変更届 ・死亡を証明する書類 ・相続人の本人確認書類 |
クレジットカード | カード会社各社の窓口 | ・死亡を証明する書類 ・相続人の本人確認書類 ・クレジットカード(解約の場合) |
不動産相続登記が義務化されました:
2024年4月から、相続による不動産の所有権移転登記(相続登記)が義務化されました。相続の発生を知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記は専門的な知識が必要なため、司法書士への依頼をご検討ください。当事務所でも相続登記のサポートを承っております。
相続手続きのステップと流れ
相続手続きは複雑で多岐にわたりますが、以下のステップで進めると計画的に対応できます。
STEP 1: 死亡届の提出と必要書類の収集
まず、7日以内に市区町村役場に死亡届を提出します。同時に、戸籍謄本や住民票除票など、今後の手続きに必要な書類を集め始めます。
STEP 2: 相続人と相続財産の調査
戸籍謄本などから法定相続人を確定させるとともに、預貯金、不動産、有価証券、生命保険、借金など、被相続人の財産を調査します。
STEP 3: 相続の選択(単純承認・限定承認・相続放棄)
調査の結果、借金が多いなど問題がある場合は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄または限定承認の手続きを行います。
STEP 4: 遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
相続人全員で話し合い、誰がどの財産を相続するか決めます。合意内容を「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が署名・実印を押します。
STEP 5: 相続税の申告と納付(必要な場合)
相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合は、相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告と納付が必要です。
STEP 6: 各種財産の名義変更手続き
遺産分割協議書や遺言書に基づき、不動産、預貯金、有価証券などの名義変更手続きを行います。各機関により必要書類が異なります。
当事務所でお手伝いできること
当事務所では、相続手続き全般のお手伝いをしております。相続・遺言・名義変更・生前贈与など、さまざまな手続きに柔軟に対応し、ご依頼者様のご要望や状況に合わせたサポートを提供しています。
具体的なサポート内容
- 相続人調査:戸籍謄本等の収集代行と法定相続人の確定
- 相続財産調査:不動産、預貯金、有価証券など財産の調査サポート
- 遺産分割協議書作成:法的に有効な遺産分割協議書の作成サポート
- 相続登記手続き:不動産の名義変更手続きの代行
- 預貯金・有価証券の名義変更:各金融機関での手続きサポート
- 相続放棄申述手続き:家庭裁判所への申述手続きサポート
- 遺言書作成・検認:遺言書作成支援と検認手続きのサポート
- 相続税申告サポート:税理士と連携した相続税申告サポート
相続手続きは専門知識が必要な上に、様々な機関との対応が必要となり、時間と労力がかかります。当事務所にご依頼いただくことで、手続きの負担を軽減し、スムーズな相続手続きをサポートいたします。
初回相談は30分無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。

司法書士・行政書士和田正俊事務所
住所:〒520-2134 滋賀県大津市瀬田5丁目33番4号
電話番号:077-574-7772
営業時間:9:00~17:00
定休日:日・土・祝
相続手続きに関するご相談は、お電話またはメールにて「相続手続きについて相談したい」とお伝えください。初回相談30分は無料です。
まとめ - 相続手続きを計画的に進めるために
相続発生後の手続きは多岐にわたり、それぞれに期限や必要書類が異なります。特に相続放棄(3ヶ月以内)や相続税申告(10ヶ月以内)など、期限が法律で定められている重要な手続きもあるため、計画的に進めることが大切です。
また、2024年4月からは不動産の相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に登記申請を行う必要があります。期限内に手続きを行わないと過料が科される可能性もあるため、専門家のサポートを受けながら確実に進めることをお勧めします。
相続手続きは一般の方にとって普段経験することが少なく、専門知識も必要となります。手続きに不安がある場合は、早めに専門家に相談することで、スムーズな相続手続きを実現し、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができます。
当事務所では、相続手続きに関する様々なご相談に対応しております。お困りのことがございましたら、お気軽にご連絡ください。
相続手続きをスムーズに進めるためのチェックリスト:
- 死亡届の提出(7日以内)
- 葬儀・火葬の手配
- 相続人の確定(戸籍謄本の収集)
- 遺言書の有無の確認(ある場合は検認手続き)
- 相続財産の調査(預貯金・不動産・有価証券・保険・借金など)
- 相続の選択(単純承認・限定承認・相続放棄を検討)
- 遺産分割協議と協議書の作成
- 相続税の申告と納付(必要な場合)
- 各種財産の名義変更手続き
- 公共料金等の契約者変更
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースに対する法的アドバイスを構成するものではありません。具体的な相続手続きについては、当事務所までお問い合わせください。
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