新年に始める終活:2026年版 やることリストと法的手続き

新年に始める終活:2026年版 やることリストと法的手続き

はじめに:なぜ新年に終活を始めるべきなのか

2026年の新年を迎え、多くの方が新たな目標を立てる中で、「終活」について考えてみませんか?終活とは、人生の最期に向けて準備を整える活動のことで、決してネガティブなものではありません。むしろ、残された家族への愛情表現であり、自分らしい人生の締めくくりを迎えるための大切な準備なのです。

司法書士として数多くの相続手続きに携わってきた経験から申し上げますと、事前の準備がしっかりとされているご家庭とそうでないご家庭では、残されたご家族の負担に雲泥の差があります。新年という節目のタイミングで、ぜひ終活について本格的に考えてみてください。

2026年の終活事情:最新の法改正と社会情勢

デジタル遺産の重要性が急増

2026年現在、デジタル遺産の取り扱いがより重要になっています。オンラインバンキング、仮想通貨、デジタル写真、SNSアカウントなど、私たちの資産や思い出の多くがデジタル化されています。これらの管理方法を明確にしておくことが、現代の終活には欠かせません。

相続法の運用状況

2019年に施行された改正相続法も、実際の運用が安定し、配偶者居住権や遺留分侵害額請求権などの制度が定着してきました。これらの新しい制度を理解し、活用することで、より柔軟な相続対策が可能になっています。

高齢化社会の進展

日本の高齢化はさらに進み、認知症患者数も増加傾向にあります。成年後見制度や家族信託などの財産管理制度の重要性がより高まっています。

終活で準備すべき7つの重要項目

1. エンディングノートの作成

エンディングノートは、あなたの想いや希望を家族に伝える重要なツールです。以下の項目を含めて作成しましょう:

基本情報

  • 本籍地、家族構成
  • 病歴、服薬状況
  • 緊急連絡先

財産関連

  • 銀行口座一覧
  • 保険証券の保管場所
  • 不動産の詳細
  • 株式・投資信託等の情報
  • 借入金の有無

希望事項

  • 医療に関する希望
  • 葬儀・埋葬の希望
  • 遺品整理について

2. 遺言書の作成

遺言書は法的効力を持つ重要な書面です。司法書士として、以下の点を特に重視することをお勧めします:

自筆証書遺言の保管制度を活用

2020年から開始された法務局での自筆証書遺言保管制度は、紛失や改ざんのリスクを防げる優れた制度です。手数料も3,900円と手頃で、多くの方に利用していただけます。

公正証書遺言の検討

より確実性を求める場合は、公正証書遺言をお勧めします。公証人が作成するため、無効になるリスクが低く、原本が公証役場に保管されるため安全です。

遺言書の内容で重要なポイント

  • 相続人以外への遺贈も可能
  • 遺言執行者の指定
  • 付言事項での想いの記載

3. 財産の整理と把握

終活において、自身の財産を正確に把握することは極めて重要です。

プラスの財産

  • 預貯金(銀行名、支店名、口座番号)
  • 不動産(登記簿謄本で権利関係を確認)
  • 有価証券(証券会社、銘柄、数量)
  • 生命保険(保険証券の確認)
  • その他の債権

マイナスの財産

  • 住宅ローン
  • その他の借入金
  • 連帯保証債務
  • 税金の未納分

財産目録の作成メリット

財産目録を作成することで、相続時の財産調査が大幅に簡素化されます。相続人が財産を見つけられずに相続手続きが長期化するケースを多く見てきましたが、事前の整理によりこのような問題を防げます。

4. 重要書類の整理と保管

整理すべき書類一覧

  • 不動産登記済権利証(登記識別情報)
  • 預貯金通帳・キャッシュカード
  • 保険証券
  • 年金手帳・年金証書
  • 株券・債券
  • 借用書・契約書
  • 戸籍謄本・住民票

保管方法のポイント

  • 耐火金庫や貸金庫の利用
  • 書類の所在を家族に伝達
  • コピーの保管も検討
  • デジタル化による複製保存

5. デジタル遺産の管理

2026年現在、デジタル遺産の管理は終活の重要な要素となっています。

対象となるデジタル遺産

  • オンラインバンキングのアカウント
  • 仮想通貨ウォレット
  • クラウドストレージのデータ
  • SNSアカウント
  • サブスクリプションサービス
  • デジタル写真・動画

管理方法

  • IDとパスワードの一覧作成
  • 二段階認証の設定確認
  • デジタル遺産管理サービスの利用検討
  • 家族への情報共有方法の決定

6. 葬儀・埋葬の準備

事前準備のメリット

  • 費用の透明化
  • 希望に沿った式典の実現
  • 家族の精神的負担軽減

検討事項

  • 葬儀の規模と形式
  • 宗教・宗派の確認
  • 埋葬・納骨の希望
  • 費用の予算設定

法的注意点

  • 墓地・埋葬等に関する法律の遵守
  • 散骨の場合の注意事項
  • 墓地使用権の承継について

7. 家族・関係者への情報共有

コミュニケーションの重要性

終活は一人で行うものではありません。家族や信頼できる人との情報共有が不可欠です。

共有すべき情報

  • 遺言書の存在と保管場所
  • 重要書類の所在
  • 医療・介護に関する希望
  • 葬儀に関する希望
  • 財産の概要

法的手続きの詳細ガイド

遺言書作成の法的要件

自筆証書遺言の要件

  • 全文を自筆で記載(財産目録は例外)
  • 日付の記載(年月日まで特定できること)
  • 氏名の自筆署名
  • 押印(実印でなくても可)

公正証書遺言の手続き

  1. 公証役場での事前相談
  2. 必要書類の準備
  3. 証人2名の手配
  4. 公証人との打ち合わせ
  5. 遺言書の作成・署名

成年後見制度の活用

任意後見契約の検討

将来の認知症等に備えて、信頼できる人との間で任意後見契約を締結することをお勧めします。

契約締結の流れ

  1. 後見人候補者の選定
  2. 後見事務の内容決定
  3. 公正証書による契約書作成
  4. 後見登記の申請

家族信託の活用

家族信託のメリット

  • 認知症対策として有効
  • 遺言書よりも柔軟な財産承継が可能
  • 成年後見制度の代替手段

検討すべきケース

  • 不動産を多く所有している場合
  • 事業承継を考えている場合
  • 相続人が多数いる場合

生前贈与の活用

2026年現在の贈与税制

  • 基礎控除額:年間110万円
  • 相続時精算課税制度:2,500万円
  • 住宅取得等資金の贈与の特例

生前贈与の注意点

  • 相続開始前7年以内の贈与の取り扱い
  • 遺留分侵害額請求との関係
  • 適切な記録の保持

司法書士に相談するメリット

専門性の高いアドバイス

司法書士は相続・遺言の専門家として、以下のサービスを提供できます:

遺言書作成支援

  • 法的要件を満たした遺言書の作成指導
  • 遺言執行者としての就任
  • 遺言書保管制度の手続き代行

相続手続きの代行

  • 相続登記の申請
  • 相続放棄・限定承認の申述
  • 遺産分割協議書の作成

成年後見関連業務

  • 後見開始の申立て
  • 任意後見契約書の作成
  • 後見人・後見監督人への就任

費用対効果の高さ

司法書士に依頼することで、以下のメリットがあります:

  • 法的トラブルの予防
  • 手続きの迅速化
  • 精神的負担の軽減
  • 相続税対策の最適化

年代別・状況別の終活プラン

50代の終活プラン

重点項目

  • 子どもの教育費完了後の資産整理
  • 住宅ローン完済計画
  • 生命保険の見直し
  • エンディングノート作成開始

60代の終活プラン

重点項目

  • 退職金の運用方法検討
  • 遺言書の正式作成
  • 墓地・霊園の検討
  • 医療・介護の希望明確化

70代以上の終活プラン

重点項目

  • 任意後見契約の締結
  • 財産の生前整理
  • デジタル遺産の整理
  • 家族との定期的な情報共有

2026年に注意すべき税制改正

相続税・贈与税の一体化

相続税と贈与税の一体的見直しが段階的に実施されており、2026年も引き続き注意が必要です。

主な変更点

  • 生前贈与加算期間の延長(3年→7年)
  • 相続時精算課税制度の基礎控除創設

デジタル課税への対応

仮想通貨等のデジタル資産に対する課税ルールも明確化されており、適切な申告が必要です。

よくある質問と回答

Q1: 終活はいつから始めるべきですか?

A1: 年齢に関係なく、思い立った時が始め時です。ただし、判断能力に不安が生じる前に開始することが重要です。

Q2: 遺言書は必ず必要ですか?

A2: 法的には必須ではありませんが、相続人同士のトラブル防止や希望の実現のため、作成をお勧めします。

Q3: エンディングノートと遺言書の違いは?

A3: エンディングノートは法的効力がない想いを記すもので、遺言書は法的効力を持つ財産の処分方法を記すものです。

Q4: 司法書士費用はどの程度かかりますか?

A4: 業務内容により異なりますが、遺言書作成支援で5-15万円程度が一般的です。詳細は事前にお見積りいたします。

まとめ:2026年の終活を成功させるために

新年に終活を始めることは、新たな人生のステージに向けた重要な準備です。この記事でご紹介した7つのポイントを参考に、計画的に進めていきましょう。

成功のポイント

  1. 早めの着手で余裕を持った準備
  2. 家族との十分なコミュニケーション
  3. 専門家の適切な活用
  4. 定期的な見直しと更新
  5. デジタル化への対応

司法書士として、皆様の終活をしっかりとサポートさせていただきます。不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。2026年が、皆様にとって安心で充実した年となることを心より願っております。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的なケースについては、必ず専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 和田正俊事務所 代表和田 正俊(Wada Masatoshi)

  • 滋賀県司法書士会所属 登録番号 滋賀第441号
  • 簡裁訴訟代理関係業務 認定番号 第1112169号
  • 滋賀県行政書士会所属
    登録番号 第13251836号会員番号 第1220号
  • 公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート滋賀支部所属
    会員番号 第6509213号
    後見人候補者名簿 及び 後見監督人候補者名簿 搭載
  • 法テラス契約司法書士
  • 近畿司法書士会連合会災害相談員

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