【司法書士が徹底解説】個人間の高額融資で絶対に失敗しない!不動産担保(抵当権・譲渡担保)活用の完全ガイド

【司法書士が徹底解説】個人間の高額融資で絶対に失敗しない!不動産担保(抵当権・譲渡担保)活用の完全ガイド

【司法書士が徹底解説】個人間の高額融資で絶対に失敗しない!不動産担保(抵当権・譲渡担保)活用の完全ガイド

最終更新日:2025年12月17日

はじめに:高額な個人間融資に潜むリスク

クリスマスや年末年始、事業の節目など、個人間でも高額なお金が動く機会は少なくありません。「親しい友人だから」「家族だから」という信頼関係だけを理由に、契約を書面で交わさなかったり、担保を取らなかったりするケースが見受けられます。しかし、金額が大きくなるほど、ひとたび返済が滞れば、そのダメージは計り知れず、大切な人間関係に修復不可能な亀裂を生じさせることになりかねません。

この記事では、法律の専門家である司法書士の立場から、特に高額な個人間融資を行う際に、ご自身の資産と相手との関係性を守るための「不動産担保」という強力なリスク管理手法について、その具体的な方法と注意点を専門的に、かつ分かりやすく解説します。

第1章:最低限これだけは!口約束を「法的な約束」に変える借用書

不動産担保のような強力な手続きを検討する前に、まずは全ての基本となる「書面での契約」の重要性を押さえましょう。

まず、絶対に避けるべきは「口約束」だけでの貸し借りです。どんなに信頼している相手でも、お金が絡むと人の記憶は曖昧になりがち。「言った・言わない」の泥沼に陥らないためにも、必ず書面、つまり「借用書」を作成しましょう。

ただのメモでは意味がありません。法的に有効な借用書にするための必須項目をチェックリストにしました。

【これだけは押さえたい!借用書の必須項目チェックリスト】

  • タイトル: 「借用書」または「金銭消費貸借契約書」と明記
  • 貸した金額: 金壱拾萬円也のように、改ざんされにくい漢数字(大字)で書くのがベスト
  • 貸した日付: 実際にお金を渡した日を正確に記載
  • 返済の約束: 「上記金額を借り受け、〇年〇月〇日までに全額返済します」という文言
  • 返済方法: 一括か分割か、振込か手渡しかなどを具体的に
  • 利息・遅延損害金: もし定めるなら、その利率と計算方法(※利息制限法の上限に注意)
  • 貸主と借主の情報: 両者の氏名、住所を自筆で署名してもらい、実印で押印するのが最も確実です
  • 作成日: この借用書を作成した日付

しかし、貸付額が高額になる場合、この借用書をさらに強力な「公正証書(強制執行認諾文言付き)」にアップグレードすることをお勧めします。これは、万が一の際に裁判なしで財産を差し押さえられる、債権者にとっての「最初の砦」となります。

第2章:【本題】不動産担保登記の徹底比較

公正証書は強力ですが、差し押さえるべき財産が債務者になければ意味がありません。そこで、債務者が不動産を所有している場合に絶大な効果を発揮するのが「不動産担保登記」です。代表的な3つの方法を比較してみましょう。

項目① 抵当権設定登記② 所有権移転請求権仮登記③ 所有権移転登記(譲渡担保)
登記原因金銭消費貸借代物弁済予約譲渡担保
登記上の所有者債務者のまま債務者のまま債権者に移転
債務不履行時の対応裁判所に申し立て競売にかける仮登記を本登記にし、所有権を取得確定的に所有権を取得、または任意売却
担保力標準的強力最も強力
税金コスト登録免許税(債権額の0.4%)のみで比較的安価仮登記時は安価(固定資産税評価額の1%)だが、本登記時に不動産取得税・登録免許税(固定資産税評価額の1%)が発生不動産取得税・登録免許税(固定資産税評価額の2%)が当初から発生し、高額

以下、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。


担保方法①:抵当権設定登記 — 最も標準的な防衛策

抵当権は、住宅ローンでお馴染みの最も一般的な不動産担保です。不動産の所有権は債務者のもとに残したまま、債権者がその不動産を担保に取り、もし返済が滞った場合には、その不動産を裁判所に申し立てて競売にかけ、その売却代金から他の債権者に優先して弁済を受けることができる権利(優先弁済権)です。

メリットは手続きが定型的でコストが比較的安価な点、デメリットは権利実行に時間がかかり、全額回収できないリスクがある点です。

担保方法②:所有権移転請求権仮登記 — 将来の権利を確保する戦略的手段

これは、「もし約束通りお金で返せなければ、代わりにこの不動産を渡して返済とします(代物弁済)」という未来の約束(予約)をし、その権利を保全するために行うのが「仮登記」です。最大の効果は「順位保全効」にあり、後から設定された他の権利に優先することができます。

メリットは順位保全効が強力な点、デメリットは権利実行時に訴訟が必要になる可能性や、清算義務が生じる点です。

担保方法③:所有権移転登記(譲渡担保) — 最も強力な債権保全

譲渡担保は、債権回収の担保として、不動産の所有権そのものを契約時に債権者へ移転させてしまうという、最も強力な担保方法です。登記簿上は、完全に所有者が債権者に変わります(登記原因は「譲渡担保」)。

メリットは担保力が最も強力で、債務者破産時にも強い点、デメリットは初期コストが非常に高く、債務者の抵抗が大きい点です。


第3章:どの方法を選ぶべき?最適な担保設定の選び方

どの方法がベストかは、ケースバイケースです。以下の3つの視点から、ご自身の状況に合った方法を検討しましょう。

相手との関係性で選ぶ
信頼関係を重視し、穏便に進めたいなら①抵当権が第一候補です。よりビジネスライクな関係性で、確実性を求めるなら②仮登記③譲渡担保を検討します。
コストで選ぶ
不動産取得税などの初期費用を抑えたい場合は、①抵当権②仮登記(本登記までは安価)が適しています。初期コストをかけてでも確実性をとるなら③譲渡担保です。
確実性で選ぶ
回収の確実性を最優先するなら、選択肢は③譲渡担保になります。次点で、強力な順位保全効を持つ②仮登記が続きます。

最適な方法は、貸す金額、不動産の価値、そして何より相手との関係性によって変わります。安易に自己判断せず、専門家である司法書士に状況を相談し、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、ベストな方法を選択することが重要です。

まとめ:専門知識で、あなたの大切な資産と人間関係を守ります

高額なお金の貸し借りは、もはや単なる「信頼」だけで乗り切れる問題ではありません。法的な裏付けをきちんと取ることが、結果的にあなた自身の大切な資産を守り、相手との良好な人間関係を維持することに繋がります。

私たち司法書士は、単に登記申請を代行するだけではありません。ご依頼者様の状況や貸付の背景をヒアリングし、最適な担保方法の提案から契約書作成、登記手続きまでを一貫してサポートします。トラブルを未然に防ぐ「予防法務」こそが、私たちの最も重要な使命です。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 和田正俊事務所 代表和田 正俊(Wada Masatoshi)

  • 滋賀県司法書士会所属 登録番号 滋賀第441号
  • 簡裁訴訟代理関係業務 認定番号 第1112169号
  • 滋賀県行政書士会所属
    登録番号 第13251836号会員番号 第1220号
  • 公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート滋賀支部所属
    会員番号 第6509213号
    後見人候補者名簿 及び 後見監督人候補者名簿 搭載
  • 法テラス契約司法書士
  • 近畿司法書士会連合会災害相談員

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