司法書士に依頼する委任状の正しい書き方|記載例とよくある質問完全ガイド

司法書士に依頼する委任状の正しい書き方|記載例とよくある質問完全ガイド

司法書士 委任状 書き方 署名 押印

最終更新日:2025年12月2日

1. はじめに:司法書士業務と委任状の役割

司法書士に不動産登記や相続手続きなどの各種法的手続きを依頼する際、必ずといっていいほど提出が求められるのが「委任状」です。
委任状は、民法上の「代理行為」を成立させる根拠書類であり、「この人に私の代わりに手続きをしてもらいます」という代理権を証明する、非常に重要な書面です。

  • 代理権の証明: 司法書士が依頼者(本人)の意思に基づき、法的に有効な手続きを行う権限を持っていることを、登記所や金融機関に証明します。
  • 本人確認とトラブル防止: 依頼者の真の意思を確認し、第三者によるなりすましや、司法書士の権限外の行為(無権代理)を防止する役割を果たします。

2. 委任状が必要な主なケースと手続きの特殊性

委任状は、司法書士が代理で手続きを行うあらゆるケースで必要になりますが、特に以下のケースではその役割が重大となります。

🏠 不動産登記の場合

土地・建物の売買、贈与、相続などによる所有権移転登記や、住宅ローン完済による抵当権抹消登記など。

手続きの立場重要な注意点
義務者(権利を失う人:売主や贈与者など)原則として実印の押印が必要。作成から3ヶ月以内の印鑑証明書を委任状と併せて添付しなければなりません。
権利者(権利を得る人:買主や受贈者など)認印でも可能なケースが多いですが、司法書士の指示に従いましょう。

💰 その他の相続手続きの場合

預貯金・株式・投資信託などの相続財産の名義変更、生命保険の請求、遺産分割協議書の作成代行など。

  • 金融機関や証券会社によって、委任状の書式や押印ルールが厳密に異なることがあります。
  • 手続きの都度、司法書士が提供する専用の書式を使用するのが確実です。

🏢 会社・法人の登記の場合

会社設立、役員変更、増資などの商業登記申請、各種議事録の作成など。
多くの場合、会社届出印(法人実印)の押印と、印鑑証明書の添付が求められます。

3. 委任状の基本的な書き方・記載事項

委任状には、代理権の範囲を明確にするため、以下の内容を正確に、漏れなく記載する必要があります。

  • 委任する人(委任者)の情報: 氏名・住所、署名・押印(認印または実印)
  • 代理を依頼する人(受任者:司法書士)の情報: 司法書士の氏名、事務所名、事務所所在地
  • 委任する内容(代理権の範囲):
    例:「〇〇不動産の所有権移転登記申請に関する手続き一切」など、具体的な手続きの内容と対象を明記。
    実務上、「復代理人の選任、登記識別情報受領、登記完了証の受領、登記申請の取下げ、錯誤の更正に関わる一切の件」など、包括的な権限を付与することが一般的です。
  • 作成日: 委任状を作成した日付を記入します。

ワンポイントアドバイス:
記載様式は法律で定められていませんが、司法書士が提供する推奨様式(ひな型)を使用し、記載箇所の指示に従って記入するのが最も確実です。

4. よくあるミス・トラブル事例と対処法

委任状の不備は、手続きの遅延や、最悪の場合、申請の却下(受け付けられないこと)につながります。以下の点に特に注意してください。

トラブル事例具体的な内容と対処法
押印・署名の漏れや間違い【原則】 委任状は、必ず本人が自筆で署名し、押印(実印または認印)を行ってください。代筆や印刷された署名では無効となる場合があります。
実印の押し間違い実印が必要な手続きで、誤って認印を押してしまうと無効です。また、実印に不鮮明なかすれや二重押印がある場合も、再作成を求められます。
委任内容が曖昧/抜けている「不動産登記手続一切」のように限定的かつ明確な記載が必要です。曖昧な記載や、重要な権限(例:取下げ権限)の記載漏れがあると、登記官から補正を指示され、手続きが遅延します。
日付の記入ミス/空白作成日を必ず明記してください。不動産登記では、委任状の作成日は登記原因の日付(例:売買契約日)より後の日付である必要があります。
捨印の漏れ司法書士から捨印(訂正用の印鑑)を求められた場合は、必ず押印してください。捨印があれば、軽微な誤字脱字であれば本人の再押印なしに訂正が可能となり、手続きがスムーズに進みます。

5. まとめと最終チェックリスト

委任状は、司法書士との信頼関係とスムーズな手続きを進めるための、法的効力を持つ契約書のようなものです。
不安な点や不明点があれば、自己判断せずにまずは司法書士へ確認・相談してください。

✅ 委任状提出前の最終チェックリスト
項目確認事項
署名本人が自筆で署名したか?(印刷や代筆ではないか)
押印指示された実印または認印が、かすれや二重押印なく押されているか?
日付作成日が記入漏れなく、適切な日付になっているか?
受任者司法書士の氏名・事務所名が正確か?
添付書類印鑑証明書(必要な場合)、身分証明書のコピーなど、指示された添付書類がすべて揃っているか?

ご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねください。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 和田正俊事務所 代表和田 正俊(Wada Masatoshi)

  • 滋賀県司法書士会所属 登録番号 滋賀第441号
  • 簡裁訴訟代理関係業務 認定番号 第1112169号
  • 滋賀県行政書士会所属
    登録番号 第13251836号会員番号 第1220号
  • 公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート滋賀支部所属
    会員番号 第6509213号
    後見人候補者名簿 及び 後見監督人候補者名簿 搭載
  • 法テラス契約司法書士
  • 近畿司法書士会連合会災害相談員

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