長期相続登記等未了土地解消作業について

長期相続登記等未了土地解消作業について

長期相続登記等未了土地解消作業について

はじめに

日本では、相続登記が未了の土地が多く存在し、これが公共事業の遅延や地域の発展を妨げる要因となっています。法務局は、この問題を解消するために「長期相続登記等未了土地解消作業」を進めています。このブログ記事では、この作業の背景、具体的な手続き、そしてその意義について詳しく解説します。

第1章 長期相続登記等未了土地解消作業について

Q1: 法務局は何を調査しているのか?

法務局は、公共の利益となる事業を実施しようとする者からの求めに応じて、特定の土地が「特定登記未了土地」に該当するかどうかを調査しています。具体的には、所有権の登記名義人が死亡してから一定期間(法律では30年、政令では10年)を超えて相続登記がされていない土地を対象としています。このような土地を「長期相続登記等未了土地」と呼び、法務局はその所有権の登記名義人となり得る者を調査しています。

Q2: 特定登記未了土地とは?

「特定登記未了土地」とは、相続登記がされていない土地であり、公共の利益となる事業の円滑な遂行を図るために、その所有権の登記名義人となり得る者を探索する必要がある土地を指します。令和4年4月1日からは、法律上の根拠がある公共性の高い民間事業も対象となっています。

Q3: 調査の実態は?

法務局は、公共嘱託登記司法書士協会などに調査業務を委託しています。受託者は、法務局から提供された対象土地の一覧や被相続人の死亡時の戸籍などを基に、法定相続人を探索し、法定相続人情報を作成します。この情報は、戸籍などとともに法務局に納品されます。

Q4: 調査完了後の流れは?

調査が完了すると、法定相続人情報には作成番号が付され、法務局に保管されます。登記官は職権で、「所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記がされていない土地である旨」の付記登記を行います。法務局は事前調査により同一登記名義人の土地を把握しており、同一名義人が所有する土地にはすべて付記登記がなされます。ただし、調査対象区域外の土地については、付記登記がなされない場合があります。

第2章 長期相続登記等未了土地解消作業の意義

公共事業の円滑化

この取り組みは、公共事業の円滑な遂行を支援するために重要です。相続登記が未了の土地があると、公共事業の計画や実施が遅れることがあります。法務局の調査により、所有者不明の土地が減少し、公共事業がスムーズに進むことが期待されます。

地域の発展への貢献

相続登記が未了の土地が減少することで、地域の発展が促進されます。土地の所有者が明確になることで、土地の有効活用が可能になり、地域の経済活動が活発化します。

相続手続きの簡素化

法定相続人情報の提供により、相続手続きが簡素化されます。これにより、相続人は迅速に登記を完了でき、手続きの負担が軽減されます。

第3章 制限事項と注意点

公共事業の実施主体の対象外

この取り組みは、公共事業の実施主体(国、地方公共団体及び民間事業者)については対象外とされています。法定相続人情報以外の登記簿の附属書類(戸籍謄本等)の確認には、従来どおりの手続きが必要です。

情報の信頼性と透明性

この取り組みで作成または取得した文書は、公文書等の管理に関する法律に基づき、適切に管理されます。これにより、情報の信頼性と透明性が確保され、関係者が安心して利用できる環境が整えられています。

まとめ

長期相続登記等未了土地解消作業は、相続登記の促進と所有者不明土地問題の解消に向けた重要な取り組みです。この取り組みにより、相続手続きが円滑に進むことで、地域の発展や公共事業の推進が期待されます。法務局の新たなサービスを活用し、相続登記を早期に完了させることが、今後の土地利用の適正化に繋がるでしょう。

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司法書士・行政書士和田正俊事務所

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