抵当権抹消登記の原因は「弁済」?「解除」?違いを徹底解説
住宅ローンを完済したとき、不動産に設定されていた抵当権を抹消する登記が必要になります。この抵当権抹消登記の原因として「弁済」や「解除」などの文言が使われますが、なぜ借金を返済したのに「弁済」ではなく「解除」と記載されることがあるのでしょうか。このページでは、抵当権抹消登記の原因の違いについて詳しく解説します。
抵当権の抹消原因が「弁済」ではなく「解除」となっている理由
「銀行にお金を返したのに、なぜ弁済ではなく、解除なのか?」
登記完了後、ご依頼者様からのお問い合わせで最も多いのがこの質問です。抵当権抹消登記を見て、「弁済」ではなく「解除」と記載されていることに疑問を持たれる方が多いのです。
抵当権とは、銀行などからお金を借りたときに、このお金が万が一返済できなくなった場合、その不動産を売却して売却代金から優先的に返済を受けることができる権利です。抵当権を不動産に設定するには、前提となる金銭消費貸借契約と抵当権設定契約を締結する必要があります。
抵当権抹消原因が「弁済」か「解除」かは、抵当権設定契約を誰と結んだかによって決まります。抵当権設定には以下の2つの形態があり、これによって抹消原因も変わってくるのです。
抵当権設定の2つのパターンと抹消原因の関係
パターン1:銀行が直接抵当権を設定する場合
この形態では、お金を貸す銀行が直接抵当権を設定します。借主は金銭消費貸借契約(ローン契約や貸金契約など)を銀行と締結し、同じ銀行と抵当権設定契約を結びます。
多くの場合、抵当権設定に関する事項は金銭消費貸借契約の条項または特約条項として含まれています。この形態の特徴は保証会社等が介入しないことです。
以前はこの形の契約が一般的で、保証人は家族が務めることが多かったのですが、現在は銀行業界が個人を保証人としない方針を採用しているため、この形態の抵当権設定は減少しています。
パターン2:保証会社等が抵当権を設定する場合
この形態では、お金を貸すのは銀行ですが、抵当権を設定するのは保証会社です。借主は銀行と金銭消費貸借契約を締結してお金を借りますが、万が一返済できなくなった場合、保証会社が代わりに返済する保証委託契約を保証会社と結びます。
この保証委託契約に付随して抵当権設定契約を締結し、保証会社が被った損害を賠償する(保証会社の求償債権)ために抵当権が設定されます。この形態の特徴は保証会社等が介入することです。
現在はこの形態の契約が主流となっています。
抵当権抹消原因の違いを詳しく解説
パターン1の場合の抹消原因:「弁済」が多い
銀行が直接抵当権を設定している場合、抵当権の抹消原因は「弁済」になることが多いです。これは借主が銀行から借りていたお金を返済し、金銭消費貸借契約が「弁済」により消滅すると、抵当権設定契約も同じ原因で同時に消滅するためです。
法的には、被担保債権(ローン等の借金)が消滅すれば、その担保である抵当権も付従性により消滅するという原理に基づいています。このため、抵当権を抹消する登記原因には「弁済」が使われることになります。
ただし、パターン1の場合でも、銀行の方針により「解除」や「放棄」が使われることもあります。これは銀行によって登記原因の記載方法に差があるためです。
パターン2の場合の抹消原因:「解除」や「放棄」が多い
保証会社が抵当権を設定している場合、抵当権の抹消原因は「解除」や「放棄」になることが多いです。これはなぜでしょうか。
借主が銀行から借りていたお金を返済し、金銭消費貸借契約が弁済により消滅すると、保証会社が銀行と結んでいる保証契約が行使されることはなくなります。しかし、保証会社と借主の間の保証委託契約および抵当権設定契約はまだ存続しています。
そこで、保証会社は債務者と締結していた保証委託契約を「解除」または保証委託契約に基づく求償権を「放棄」し、抵当権設定契約も同時に「解除」または「放棄」により消滅させます。よって、この場合の抵当権抹消の登記原因は「解除」や「放棄」となるのです。
以前はこのケースでも抵当権抹消原因を「弁済」としていることもありましたが、法律行為をより正確に登記に反映させるという方針から、「解除」や「放棄」が使われるようになりました。「解除」か「放棄」かは、保証会社から交付される抵当権の抹消原因に関する書類の記載によります。なお、抵当権抹消の登記原因には「解除」「放棄」以外に「主債務消滅」なども使用されます。
抵当権抹消登記は専門家に依頼するメリット
抵当権抹消の登記は自分でできる?
住宅ローンの返済が終わったら、抵当権を抹消する登記をしなければなりません。しかし、銀行は必要書類を送ってくるだけで、登記手続き自体は自分で行う必要があります。
抵当権抹消の登記は自分でもできますが、以下のような手順を踏む必要があります:
- 法務局に行って申請書のひな形を入手する
- 申請書類に必要事項を記入する
- 銀行から交付された抵当権抹消通知書や委任状などの添付書類を準備する
- 登録免許税を計算し、収入印紙を購入する
- 法務局に再度行き、申請書類と添付書類、登録免許税を提出する
これらの手続きは初めての方には難しく感じられるかもしれません。また、法務局の窓口は混雑していることが多く、待ち時間が長くなることもあります。書類に不備があったり税金の計算が間違っていたりすると、やり直しになることもあります。
特に注意すべき点として、抵当権抹消登記の原因が「弁済」「解除」「放棄」のいずれになるかは、抵当権設定のパターンによって異なります。このような専門的な判断が必要な場合は、専門家に依頼することでミスを防ぐことができます。
当事務所では、抵当権抹消の登記を専門的にサポートしております。司法書士として登記の専門知識と経験を持っていますので、スムーズに登記を完了させることができます。また、費用もリーズナブルに設定しておりますので、ご安心ください。
抵当権抹消登記を早めに行うべき理由
抵当権抹消の登記は早めに済ませることをお勧めします。抵当権が残っていると、次のようなデメリットがあります:
- 不動産の売却や贈与などの取引ができない
- 新たに住宅ローンを組む際に支障が出る
- 災害や事故などで不動産が損傷した場合に保険金の支払いが遅れたり減額されたりする可能性がある
- 相続が発生した場合に手続きが複雑になる
抵当権抹消登記は、住宅ローン完済後の重要な手続きです。「弁済」「解除」「放棄」などの原因の違いを正しく理解し、適切に手続きを行うことが大切です。当事務所では、お客様のご状況に合わせた丁寧なサポートを提供しております。
抵当権抹消の登記についてご相談やご依頼がありましたら、お気軽に当事務所までご連絡ください。あなたの抵当権抹消登記もお任せください!
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