ベトナム法人設立のための認証作業

ベトナム法人設立のための認証作業

ベトナム法人設立のための認証手続き完全ガイド - 必要書類と手続きの流れ

海外進出を検討する日本企業にとって、ベトナムは魅力的な投資先となっています。しかし、ベトナムで法人を設立する際には、日本の親会社の各種書類に対して複数の公的機関による認証が必要です。この記事では、ベトナム法人設立に必要な書類の認証プロセスについて、実際の経験に基づいた情報をご紹介します。

本記事のポイント:

  • ベトナム法人設立に必要な日本側の書類と認証プロセス
  • 効率的な認証取得方法(大阪での一括認証の利点)
  • 認証手続きの実際の流れと所要時間
  • 書類準備から認証完了までのチェックポイント

ベトナム法人設立に必要な書類

ベトナムで法人(子会社や支店)を設立する際、日本の親会社に関する以下の書類が必要となります:

  1. 定款(会社の基本ルールを定めた文書)
  2. 登記事項証明書(法務局が発行する会社の公式情報)
  3. 決算書(会社の財務状況を示す書類)
  4. 印鑑証明書(会社の実印を証明する書類)

これらの書類は、ベトナム当局に提出する前に、日本国内で複数の機関による認証を受ける必要があります。認証とは、書類の真正性を公的に証明する手続きです。

認証の流れ - 4段階の認証プロセス

ベトナム法人設立のための書類認証は、以下の4つの機関を順番に経由する必要があります:

STEP 1: 公証役場での認証

まず、公証役場で書類の認証を受けます。公証人が書類の内容を確認し、公証証明を付与します。

STEP 2: 法務局での認証

次に、法務局で公証人の署名と印鑑の真正性を証明してもらいます。

STEP 3: 外務省での認証

外務省(または外務省大阪分室)で、法務局の証明の真正性を確認してもらいます。

STEP 4: ベトナム大使館での認証

最後に、ベトナム大使館で外務省の証明に対する認証(領事認証)を受けます。これにより、ベトナム当局に提出可能な状態になります。

大阪での認証取得のメリット

大阪の公証役場(特に堺合同公証役場など)では、公証役場、法務局、外務省の認証を一度に受けることができるワンストップサービスが提供されています。これにより、3つの機関を個別に訪問する手間が省け、大幅な時間短縮が可能になります。

対照的に、滋賀県内の公証役場で手続きを始めた場合、次のステップとして大津地方法務局、そして大阪の外務省大阪分室をそれぞれ訪問する必要があります。

実際の認証作業の流れ - 当事務所の経験から

当事務所でお手伝いした際の実際の流れをご紹介します:

  1. 書類の準備
    • 定款と登記事項証明書は当事務所で取得・準備
    • 決算書と印鑑証明書はクライアント企業に準備いただく
    • 各書類に証明書を合綴し、すべてのページに契印(割印)を付ける
  2. 堺合同公証役場での認証
    • 所要時間:約30分
    • 公証役場、法務局、外務省の3つの認証を一度に取得
  3. ベトナム大使館での認証
    • 所要時間:約30分
    • 大阪府堺市にあるベトナム大使館で最終認証を取得

混雑状況にもよりますが、当日の所要時間は合計で約1時間程度でした。大阪エリアでの手続きは非常に効率的で、すべての認証を1日で完了させることができました。

実務上の注意点

  • 予約の必要性:公証役場やベトナム大使館は事前予約が必要な場合があります。特に混雑時期は早めに予約を取ることをお勧めします。
  • 書類の準備:すべての書類は原本または原本証明されたコピーが必要です。また、必要に応じてベトナム語への翻訳も準備する必要があります。
  • 手数料:各機関での認証には手数料がかかります。事前に必要な金額を確認し、準備しておきましょう。
  • 契印(割印):複数ページある書類はすべてのページに契印が必要です。これにより書類の一体性が保証されます。

他の国での法人設立との違い

国によって必要な認証プロセスは異なります。例えば:

アポスティーユ加盟国の場合

ハーグ条約(アポスティーユ条約)加盟国では、アポスティーユ証明のみで済む場合があります。これにより認証プロセスが簡略化されます。

中国の場合

中国では、ベトナムと同様の多段階認証が必要ですが、認証を行う機関や要求される書類が異なる場合があります。

当事務所のサポート内容

当事務所では、海外法人設立に必要な書類の取得から認証手続きまで、ワンストップでサポートしています:

  • 定款・登記事項証明書など必要書類の取得
  • 認証に適した形での書類の準備(合綴、契印など)
  • 公証役場、法務局、外務省、各国大使館での認証手続き代行
  • 効率的な認証ルートの提案とスケジュール調整

ベトナムに限らず、海外に提出する書類の認証が必要な場合は、ぜひ当事務所にご相談ください。これまでの経験を活かし、効率的かつ確実な認証手続きをサポートいたします。

まとめ

ベトナム法人設立のための認証プロセスは複雑に見えますが、適切な準備と効率的なルート選択により、比較的スムーズに進めることができます。特に大阪エリアでは、複数の認証を一度に取得できるメリットがあります。

海外進出は企業の大きな挑戦ですが、書類認証という最初のステップを確実に行うことで、その後の手続きもスムーズに進むでしょう。当事務所では、お客様の海外展開を書類面からしっかりとサポートいたします。

お問い合わせ

海外法人設立に必要な書類認証についてご不明点がございましたら、お気軽にご相談ください。

司法書士・行政書士和田正俊事務所

住所:〒520-2134 滋賀県大津市瀬田5丁目33番4号

電話番号:077-574-7772

営業時間:9:00~17:00

定休日:日・土・祝

特別テーマに関連する記事

司法書士の業務デジタル化本格化の画像

全国の簡易裁判所で「mints」運用開始!司法書士の業務も本格デジタル化へ

全国の簡易裁判所へmints導入完了!司法書士が解説するデジタル化で変わる裁判手続きの未来とメリット。
【専門家解説】空き家の法的リスクと特定空家等指定への対応策の画像

空き家管理の法的リスクと特定空家等の指導について

相続で引き継いだ実家などの空き家管理が不十分だと、空き家対策特別措置法による「特定空家等」指定のリスクがあります。特定空家等は行政指導や最終的に行政代執行の対象となり、所有者に大きな負担がかかります。建物の倒壊リスクや不法侵入者対策として、定期的な点検・修繕や専門業者への管理委託が効果的です。
認知症と経営: 資産管理の解決策の画像

認知症と会社経営、親の資産管理における課題と解決策

認知症に備えた会社経営には信託制度が有効です。家庭では、成年後見と家族会議で親の資産管理を円滑に進めましょう。