公証人手数料が変更になっています。

公証人手数料が変更になっています。

公証人手数料・手続きの重要改正 - 令和4年1月からの3つの変更点

令和4年1月1日から公証事務運用が改正され、公証役場での手続きや手数料に関する重要な変更が行われました。この改正により、「株式会社等の定款認証手数料の改定」「郵送による執行文付与申立て・正謄本交付申立ての許可」「嘱託人作成文書への押印廃止」という3つの大きな変更点が導入されています。本記事では、これらの変更内容と実務上の影響について詳しく解説します。

本記事のポイント:

  • 資本金額に応じた定款認証手数料の段階的設定
  • テレビ電話を活用した郵送申請の拡大
  • 行政手続き簡素化に伴う押印廃止の対象手続き
  • 各変更点の実務上の影響と注意点

1. 株式会社等の定款認証手数料の改定

株式会社または特定目的会社の定款認証に係る公証人手数料が、これまでの一律5万円から、資本金の額に応じた3段階の料金体系に改定されました。これにより、特に少額資本の会社設立時の負担が軽減されることになります。

新しい定款認証手数料

資本金の額等手数料
100万円未満の場合3万円
100万円以上300万円未満の場合4万円
その他の場合(300万円以上)5万円

この改定により、少額資本での起業がより身近になり、起業促進への効果が期待されます。なお、定款認証手数料の他に、定款に貼付する収入印紙代(4万円)や登録免許税などの費用は別途必要ですので、ご注意ください。

2. 郵送による執行文付与申立て、正謄本交付申立ての許可

これまで公正証書の執行文付与申立てや正本・謄本の交付請求は、公証役場に直接出向いて行う必要がありましたが、今回の改正により、一定の条件下で郵送による申立てや交付請求が可能になりました。

郵送申請の条件

テレビ電話を利用した本人確認が実施できる場合に限り郵送申請が認められます。申立人の身分確認のため、公的機関が発行した写真付き身分証明書(マイナンバーカード、パスポート、運転免許証など)が必要です。

対象となる手続き

執行文付与の申立て(債務者が債務を履行しない場合に強制執行するために必要)および公正証書の正本・謄本の交付請求が対象となります。これにより、遠方にお住まいの方や多忙な方の利便性が向上します。

実務上の注意点

郵送による申請を行う場合は、事前に各公証役場に手続きの詳細を確認することをお勧めします。公証役場によって対応可能な日時や具体的な手続き方法が異なる場合があります。また、テレビ電話での本人確認のための機器や環境も事前に整えておく必要があります。

3. 嘱託人作成文書への押印廃止

政府による行政手続きの押印廃止の流れを受け、公証役場においても一部の手続きで押印が不要となりました。これにより、手続きの簡素化・効率化が図られています。

電子定款に関する申告書等

電子定款申請に関連する各種申告書や提出書類について、これまで必要だった押印が廃止されました。電子署名による認証との整合性を図る意味もあります。

保証意思宣明書の保証予定者の押印

連帯保証契約を締結する際に作成する保証意思宣明書について、保証予定者の押印が不要となりました。ただし、内容の確認や意思確認のプロセスは引き続き厳格に行われます。

原本還付請求手続

公証役場に提出した原本書類の返還を請求する際の手続きにおいても、押印が廃止されました。手続きの簡素化により、より迅速な対応が期待できます。

なお、押印が廃止されたとはいえ、各書類の作成・提出における責任や内容の正確性に関する要件は従来通り厳格に求められますので、書類作成の際は内容を十分に確認することが重要です。

まとめ

令和4年1月1日からの公証事務運用の改正は、以下の3点において重要な変更をもたらしました:

  1. 定款認証手数料の資本金に応じた段階的設定:少額資本の起業コスト軽減につながります
  2. 郵送による執行文付与・謄本交付申立ての許可:テレビ電話での本人確認を条件に遠隔手続きが可能になりました
  3. 一部手続きにおける押印廃止:行政手続きの簡素化の流れに沿った改革です

これらの変更は、デジタル化の推進や行政手続きの簡素化、起業支援といった政府の方針に沿ったものであり、利用者の利便性向上や負担軽減につながることが期待されます。

ただし、各公証役場によって具体的な運用方法が異なる場合もありますので、手続きを行う際は事前に該当する公証役場に確認することをお勧めします。また、押印が廃止された手続きであっても、内容の正確性や本人確認は引き続き重要ですので、注意が必要です。

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司法書士・行政書士和田正俊事務所

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