令和8年4月施行・住所変更登記の義務化とは?~改正不動産登記法のポイントと実務対応~

令和8年4月施行・住所変更登記の義務化とは?~改正不動産登記法のポイントと実務対応~

法改正 不動産登記 住所変更 申請義務化 司法書士

最終更新日:2025年12月4日

はじめに

不動産登記実務に大きな影響を与える法改正が施行されます(令和8年4月1日施行)。この改正により、今まで任意だった「登記名義人の住所や氏名等の変更登記」が原則として義務化され、違反した場合には過料(罰金)も発生するという厳しい規定となります。本記事では、今回の法改正の詳しい内容や、実際の登記手続きの流れ、司法書士がサポートできること、そしてよくあるご質問について、丁寧に解説いたします。

改正の背景と趣旨

近年、日本各地で「所有者不明土地」の増加が深刻な社会問題となっています。土地や建物の名義人が不明なままだと、その土地を再利用したり相続したりする際に大きな障害となり、社会全体の経済活動にも悪影響を与えます。
特に、名義人の高齢化や相続が複雑化することで、名義の変更や登録が放置されがちでした。こうした状況を打開し、土地の適切な利用や円滑な相続を促すため、このたびの大幅な法改正が行われることになりました。

今回の法改正は、「民法等の一部を改正する法律」の施行に基づき、不動産登記事務の運用ルールも大きく見直されています。不動産の所有権名義人の「住所等」の変更があった場合、必ず登記を行うこと。そして、申請を怠った場合はペナルティが課されるという仕組みです。

住所等変更登記の申請義務化とは

義務の内容

今回の改正で、不動産の所有権登記名義人は、氏名や住所などの「重要事項」に変更が生じた場合、その日から2年以内に登記申請をすることが法律上の義務となりました(改正不動産登記法第76条の5)。
この「申請義務」は自然人だけでなく、法人にも適用されます。これは土地や建物の正確な管理を目的とした非常に重要な改正であり、名義人本人やご家族、相続人、法人の管理者など、不動産を所有するすべての方が注意すべき点です。

過料(罰金)の規定

「正当な理由」がないまま、登記申請を期限内に行わなかった場合は、5万円以下の過料(行政罰)に処される可能性があります(同法第164条第2項)。
また、違反が判明した場合、登記官より「催告通知」が届き、それでもなお対応しない場合には裁判所への通知→過料事件へ…という一連の流れが定められていますので、決して「忘れても大丈夫」とは考えないようにしましょう。

経過措置~施行前の変更も注意!

経過措置として、本改正の施行日(令和8年4月1日)より前に氏名や住所の変更があった場合も、その変更日または施行日のどちらか遅い日から2年以内に変更登記を行わなければなりません。
つまり、「今は任意だからそのうちで良い」と放置していた場合も、スケジュール管理や情報整理が急務となります。

手続きの流れと注意事項

住所等変更登記の義務化にともない、これまで以上に「登記情報の正確な管理」と「迅速な対応」が求められます。誰もが気をつけるべきポイントを整理します。

  • 住所や氏名、法人名が変わったら2年以内に申請
  • 施行日(令和8年4月1日)以前の変更も2年以内に申請
  • 法人の場合も本社所在地や企業名の変更は要注意
  • 「知らなかった」では済まされず催告・過料リスクも

申請を怠った場合の流れ

  1. 登記官から「申請催告書」が書留等で送付される
  2. 催告書内の期限までに登記申請、もしくは「正当な理由」があれば申告する
  3. 適切な対応がない場合、裁判所に通知→過料事件として手続きが始まる

このようなプロセスを経て、正当な理由なく義務に違反した場合にだけ過料(罰金)が科されます。

「正当な理由」になるケース

代表的な「正当な理由」としては、以下のような事例が挙げられます。

  • 行政区画の変更等で、住所が変わったばかりで登記官による職権変更が未了の場合
  • 本人や家族が重病その他やむを得ない事情がある場合
  • DV被害等により避難せざるを得ない場合や、生命・身体に対する危険がある場合
  • 経済的困窮のため登記費用の負担が難しい場合 等
その他、個々の事情も総合的に判断されますので、ご不安な方は専門家へご相談ください。

司法書士によるサポートの重要性

これまで住所変更登記は「何か必要が起きたとき」のみ申請する方も多かったですが、今後はすべての名義人が義務的に手続きをしなければなりません。住所や氏名の変更に気付かないまま放置してしまうと、思わぬトラブルやペナルティの原因となるため注意が必要です。
また、相続や贈与によって取得した不動産についても同じルールが適用されます。司法書士は、お客様ご本人やご家族の状況に合わせて最適な手続きをご提案し、適切な書類作成から申請代理まで一括してサポート致します。
法改正対応や書類の整備、登記漏れの早期発見のためにも、定期的な不動産登記情報の見直しをおすすめします。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 住所等変更登記の申請を忘れたらすぐに過料が科されるのでしょうか?
いいえ。まず登記官から「申請催告」が郵送(書留等)で届きます。催告書で指定された期限までに申請すれば問題ありません。理由がある場合はその事情の申告も可能です。本当に申請しなかった場合、裁判所に通知されて過料手続きとなります。
Q2. 住所や氏名の変更はどこまでが対象になりますか?
所有権の登記名義人の住所、氏名、法人名称や本社所在地などが対象です。婚姻や離婚により名字が変わった場合、引っ越しや法人登記簿の住所変更なども含まれます。
Q3. 施行日前に住所が変わっていて何年も放置していました。どうなりますか?
施行日(令和8年4月1日)以前の変更も、改正法が施行された日、または住所変更日からいずれか遅い日から2年以内に申請義務があります。忘れずに早急に登記の手続きをしましょう。
Q4. 経済的な理由や病気など、どうしても申請できない場合は?
「正当な理由」が認められるケースでは過料の対象となりません。主な理由の例は本文で解説していますが、ご事情によっては個別判断となる場合も多いので、早めに専門家へご相談ください。
Q5. 手続きを司法書士に任せるメリットは?
書類作成や登記の申請を正確かつ迅速に進めてもらえるほか、ケースごとの疑問やリスクにも専門的に対応できます。複数不動産や相続案件もまとめて相談でき、今後の法改正にも柔軟に対応できる点が大きなメリットです。

まとめ

今回の法改正により、不動産登記名義人の「住所・氏名等変更登記」が義務化され、放置は過料(罰金)対象となります。個人・法人を問わず、登記情報の正確性がますます求められる時代です。
名義変更や登記に不安がある方・早めの手続きが必要な方は、ぜひ専門家である司法書士までご相談ください。ご質問・ご予約もお気軽に受け付けております。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 和田正俊事務所 代表和田 正俊(Wada Masatoshi)

  • 滋賀県司法書士会所属 登録番号 滋賀第441号
  • 簡裁訴訟代理関係業務 認定番号 第1112169号
  • 滋賀県行政書士会所属
    登録番号 第13251836号会員番号 第1220号
  • 公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート滋賀支部所属
    会員番号 第6509213号
    後見人候補者名簿 及び 後見監督人候補者名簿 搭載
  • 法テラス契約司法書士
  • 近畿司法書士会連合会災害相談員

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