コンビニエンスストアのマルチコピー機で取得した住民票など(いわゆるコンビニ証明書)について

コンビニエンスストアのマルチコピー機で取得した住民票など(いわゆるコンビニ証明書)について

コンビニ証明書の基礎知識 - 偽造防止技術と本物の見分け方

マイナンバーカードの普及に伴い、コンビニエンスストアのマルチコピー機で住民票や印鑑証明書などの公的証明書を取得できる「コンビニ交付サービス」が広く利用されるようになりました。令和3年10月6日には、法務省民事局から「コンビニエンスストア等で発行された戸籍謄本等に係る偽造・改ざん防止対策について」という通知が発出され、これらの証明書の偽造防止技術に関する情報が専門家向けに共有されました。本記事では、コンビニ証明書の特徴や偽造防止技術、そして実務家がどのように原本を確認するかについて解説します。

本記事のポイント:

  • コンビニ交付サービスの概要と利用方法
  • コンビニ証明書の偽造防止技術の特徴
  • コンビニによる証明書の違い
  • 専門家が行う原本確認の方法
  • 利用者がコンビニ証明書を活用する際の注意点

コンビニ交付サービスとは

コンビニ交付サービスとは、マイナンバーカードを使用して、全国のコンビニエンスストア等に設置されたマルチコピー機から住民票の写しや印鑑登録証明書、戸籍証明書などの公的証明書を取得できるサービスです。このサービスは自治体によって導入状況が異なりますが、多くの自治体で利用可能となっています。

取得できる主な証明書

  • 住民票の写し
  • 印鑑登録証明書
  • 戸籍証明書(全部事項証明書・個人事項証明書)
  • 戸籍の附票の写し
  • 課税証明書・非課税証明書
  • 所得証明書

利用時間は基本的に6:30から23:00まで(12月29日から1月3日を除く)と、役所の窓口よりも大幅に長く、仕事帰りや休日でも取得できる便利さが特徴です。

コンビニ証明書の偽造防止技術

令和3年10月6日付で法務省民事局から発出された通知「コンビニエンスストア等で発行された戸籍謄本等に係る偽造・改ざん防止対策について(依頼)」では、コンビニ証明書に施された偽造防止技術について説明されています。

コピー防止用けん制文字

証明書を複写すると両面に「複写」という文字が浮き出る技術が採用されています。これにより、コピーと原本の区別が容易になります。

コンビニごとの異なる地紋パターン

発行するコンビニエンスストアによって地紋のパターンが異なり、これが偽造防止の一つの手段となっています。

特殊な用紙

一般に流通していない特殊な用紙が使用されており、質感や色合いが一般の用紙とは異なります。

マイクロ文字

肉眼では判別しにくい極小の文字が印刷されており、高精度なスキャンや複写を困難にしています。

専門家が行う原本確認

司法書士や行政書士などの専門家は、業務上、クライアントから提出された証明書が原本であるかを確認する必要があります。その際のチェックポイントには以下のようなものがあります:

  • 「複写」のけん制文字が見えないことを確認
  • 用紙の質感や厚みを触って確認
  • 光にかざして透かしやすかしを確認
  • 証明書に記載された発行日や証明書コードの整合性を確認
  • 証明書の内容や体裁が一般的なものと一致しているか確認

これらの確認作業は、不正な書類による登記や申請を防ぐために重要な役割を果たしています。

コンビニによる証明書の違い

コンビニ交付サービスの面白い特徴の一つは、同じ種類の証明書でも発行するコンビニエンスストアによって、用紙や地紋のパターンが異なることです。

セブンイレブン

セブンイレブンで発行される証明書は、独自の地紋パターンと色合いを持っています。

ローソン

ローソンの証明書は、別の地紋パターンを採用しており、微妙に質感も異なります。

ファミリーマート

ファミリーマートの証明書も、独自の特徴を持った用紙と地紋を使用しています。

その他のコンビニ

ミニストップやデイリーヤマザキなど、その他のコンビニでも同様に独自の特徴があります。

著者が指摘するように、同じ証明書でも異なるコンビニで取得すると、用紙や地紋が異なることを観察するのは実際に興味深い体験です。ただし、必要以上に証明書を取得することは避け、必要な時に適切に利用しましょう。

コンビニ証明書利用時の注意点

  • 有効期限の確認:証明書の種類によっては有効期限が設定されている場合があります。用途に応じた発行日の新しい証明書を取得しましょう。
  • 手数料:コンビニでの発行には手数料がかかります。窓口での発行と比較して安価な場合が多いですが、自治体によって異なります。
  • 使用目的の確認:一部の行政手続きでは、コンビニ証明書が使用できない場合があります。事前に確認が必要です。
  • マイナンバーカードの必要性:利用にはマイナンバーカードと暗証番号が必要です。カードの取得や暗証番号の管理にご注意ください。
  • 自治体のサービス導入状況:お住まいの自治体がコンビニ交付サービスを導入しているかを事前に確認しましょう。

コンビニ交付サービスのメリット

コンビニ交付サービスには、以下のようなメリットがあります:

  • 時間の節約:役所の窓口に行く時間を節約できます
  • 利用時間の拡大:早朝から夜遅くまで、休日も利用可能
  • 全国どこでも取得可能:出張先や旅行先でも取得できる場合があります
  • 手数料の削減:多くの自治体で窓口よりも安い手数料設定
  • 待ち時間の短縮:役所の窓口での長い待ち時間がない

まとめ

コンビニエンスストアのマルチコピー機で取得できる公的証明書は、便利さと同時に高度な偽造防止技術を備えています。法務省の通知にあるように、コンビニごとに異なる地紋パターンや「複写」というけん制文字など、様々な技術が用いられています。

司法書士や行政書士などの専門家は、業務上これらの証明書が原本であるかを確認する必要があり、そのための研修も行われています。一般の方々も、必要な証明書をコンビニで簡単に取得できる便利さを享受しつつ、それぞれのコンビニで発行される証明書の微妙な違いを観察してみるのも興味深い体験かもしれません。

マイナンバーカードの普及とともに、コンビニ交付サービスはますます身近なものとなっています。この便利なサービスを適切に活用して、行政手続きをよりスムーズに進めましょう。

各種証明書に関するご相談は

登記申請や行政手続きに必要な証明書についてご不明な点がございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。

司法書士・行政書士和田正俊事務所

住所:〒520-2134 滋賀県大津市瀬田5丁目33番4号

電話番号:077-574-7772

営業時間:9:00~17:00

定休日:日・土・祝

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