戸籍の附票の写しの記載事項変更 - 生年月日・性別が新たに追加
令和4年1月11日から戸籍の附票の写しの交付請求に関する取扱いが変更され、新たに生年月日と性別が記載事項に追加されました。この変更は住民基本台帳法第17条の改正に基づくものです。本記事では、戸籍の附票とは何か、変更内容、そして実務上の影響について解説します。
本記事のポイント:
- 戸籍の附票の写しに生年月日と性別が新たに記載されるようになりました
- 戸籍の附票と住民票の違いと使い分け
- 相続手続きや住所変更登記における戸籍の附票の活用方法
- 個人情報保護の観点からの記載事項選択の考え方
戸籍の附票とは
戸籍の附票とは、戸籍に記載されている人の住所の履歴を記録した公文書です。本籍地の市区町村役場で管理されており、その人が転居するたびに住所の変更が記録されます。戸籍の附票は、人の住所の変遷を時系列で確認できる唯一の公的書類であり、相続手続きや不動産登記など様々な法的手続きで活用されています。
住民票が現在の居住地の市区町村で管理されるのに対し、戸籍の附票は本籍地の市区町村で管理されるという特徴があります。そのため、転居を繰り返している人の住所履歴を追跡する際に非常に便利な書類となっています。
戸籍の附票の写しの記載事項(令和4年1月11日以降)
【必ず記載される事項】
- 氏名
- 住所
- 住所を定めた年月日
- 生年月日 ※住基法第17条の改正により追加
- 性別 ※住基法第17条の改正により追加
[原則記載されない事項]
- 戸籍の表示(本籍・筆頭者)
- 在外選挙人名簿登録情報
戸籍の附票の主な用途
司法書士業務において戸籍の附票を取得する主なケースは以下の通りです:
被相続人の最後の住所の証明
相続手続きでは、被相続人の最後の住所を証明する必要があります。これは相続開始の裁判管轄や相続財産管理人選任の申立て先を決める際に重要となります。
登記簿上の住所との関連性証明
不動産登記簿に記載された住所と現在の住所が異なる場合、戸籍の附票によって住所の変遷を証明し、同一人物であることを示します。
相続人の住所調査
相続手続きにおいて連絡先が不明な相続人がいる場合、戸籍の附票を取得して現住所を調査します。
住所変更登記の際の住所履歴証明
不動産の所有者が転居を繰り返している場合、住所変更登記を行う際に戸籍の附票で住所の遍歴を証明します。
変更の背景と影響
変更の法的根拠
今回の変更は住民基本台帳法第17条の改正に基づくものです。この改正は住民票や戸籍の附票などの記載事項の整合性を取ることを目的としています。
社会的潮流との矛盾
住民票の記載事項から性別の記載を削除する動きがある中で、戸籍の附票に性別記載を追加するのは、一見すると時代の流れに逆行するようにも見えます。これは性的少数者への配慮と行政手続きの正確性のバランスを取る必要性を示しています。
実務上の影響
司法書士業務においては、より詳細な個人情報が記載されることで本人確認の精度が上がる一方、必要以上の個人情報が開示されるリスクも生じます。用途に応じて適切な証明書を選択することが重要になります。
戸籍の附票と住民票の使い分け
今回の変更を踏まえ、目的に応じて戸籍の附票と住民票を使い分けることで、必要な情報のみを提示することが可能です:
- 性別や生年月日を表示したくない場合:従来は住民票を選択していましたが、状況によっては選択肢を再検討する必要があります
- 本籍地の情報を表示したくない場合:戸籍の附票では原則として本籍・筆頭者は記載されないため、この観点では有利になりました
- 住所の履歴が必要な場合:引き続き戸籍の附票が最適な選択肢です
- 世帯全員の情報が必要な場合:世帯全員の住民票が適しています
個人情報保護と手続きの必要性のバランスを考慮し、最適な証明書を選択することが重要です。
まとめ
令和4年1月11日からの戸籍の附票の記載事項変更により、生年月日と性別が新たに記載されるようになりました。この変更は住民基本台帳法の改正に基づくものですが、社会的な性別情報の取り扱いの流れとは一部異なる方向性を示しています。
司法書士業務や相続手続きなどにおいて戸籍の附票は重要な書類であり、この変更によって本人確認の精度が上がる一方、個人情報保護の観点からは新たな配慮が必要となります。
目的に応じて住民票と戸籍の附票を適切に使い分け、必要な情報のみを提示できるよう工夫することが、今後ますます重要になるでしょう。
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司法書士・行政書士和田正俊事務所
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