犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部改正:能登半島地震被災者支援に向けた特例措置
令和6年能登半島地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
この度、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令が公布されました。被災者支援のための寄附を円滑に行えるよう、特例措置が設けられましたので、その内容についてご説明いたします。
改正のポイント:
- 能登半島地震に係る寄附のための現金送金について、特例措置を設定
- 200万円以下の寄附は取引時確認義務の対象から除外
- 被災者の本人確認は氏名・住所のみで可能に
- 被災者支援の迅速化と円滑化が目的
改正の背景と目的
令和6年能登半島地震は多くの被害をもたらし、被災者支援のための寄附が全国から寄せられています。しかし、通常の送金手続きでは「犯罪による収益の移転防止に関する法律(マネーロンダリング防止法)」に基づく厳格な本人確認等が必要となり、迅速な支援の妨げになる可能性があります。
今回の改正は、被災者の救援という公益性が極めて大きいことを考慮し、被災地への支援をより円滑に行えるようにするための特例措置です。同時に、不正な資金移動を防止するための一定の歯止めも設けられています。
特例措置の具体的内容
- 取引時確認義務の特例犯罪による収益の移転防止に関する法律第3条第1項第1号に規定する取引時確認義務の対象から、以下の条件を満たす取引が除外されます:
- 令和6年能登半島地震に係る寄附のために行われる現金送金であること
- 送金先口座が専ら寄附を受けるために開設されたものであること
- 送金額が200万円以下であること
- 本人特定事項の確認方法の特例上記の条件を満たす寄附の場合、被災者の本人特定事項として、氏名及び住所以外の情報(生年月日や電話番号など)の確認が不要となります。
金融機関等の対応
寄附目的の確認
為替取引を扱う金融機関等は、送金が令和6年能登半島地震に係る寄附のために行われるものであることを確認する必要があります。
送金先口座の確認
送金先口座が専ら寄附を受けるために開設されたものであることを確認することが重要です。一般的には、自治体や公的な災害支援団体、被災地支援のために特別に開設された口座などが該当します。
不審取引のモニタリング
特例措置が適用されても、犯罪収益移転防止法の本来の目的に鑑み、不審な取引や不正な資金移動等がないかどうかを常に注意深く監視することが求められます。
寄附を行う方へのアドバイス
- 寄附の送金時には、送金目的が「令和6年能登半島地震に係る寄附」であることを明記しましょう
- 信頼できる団体や自治体の指定口座への寄附を心がけましょう
- 氏名と住所の確認は必要ですので、身分証明書などの準備をしておきましょう
- 200万円を超える寄附の場合は、通常の本人確認手続きが必要となりますのでご注意ください
まとめ
今回の犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部改正は、被災者支援を迅速かつ円滑に行うための重要な措置です。金融機関等はこの命令を適切に運用し、被災地への支援が滞りなく届くよう努めることが求められます。
同時に、本法の本来の目的である犯罪収益の移転防止という観点からも、適切な確認と監視を継続することが重要です。
令和6年能登半島地震により被災された皆様の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。当事務所も微力ながら被災地の復興に貢献できるよう努めてまいります。
法律相談について
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司法書士・行政書士和田正俊事務所
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