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2019/12/02
相続が発生すると,簡単なことから難しいことまで,普段経験しないような出来事が次から次へと発生し,処理する必要に迫られます。
その最たるものの一つが,葬儀に関することです。
滅多に経験することのない葬儀の「費用」について,いくつか注意点があります。
すべてを亡くなった方の財産から支払うのでなくても,一部は遺産から出したいというケースはよくあるものです。しかし,通常,亡くなった方の預金口座は凍結されることになり,お金が引き出せなくなってしまいます。
もちろん,相続はいつ発生するかわかりませんが,対応ができるのであれば準備をしておくほうが良いでしょう。
亡くなってからの口座凍結までには時間がありますから,急な相続の場合,すぐにお金を引き出しておくのも一つの方法です。
ただし,預金の引き出しという行為が相続を承認したものとみなされてしまう事があります。そうなると,マイナスの財産を放棄することができなくなりますので,この点には注意が必要です。
この場合は,取り敢えずお金を支払っておいて,相続手続き後に精算するしかありません。
もし,葬儀社が支払いを待ってくれるのなら,急いで手続きを終わらせて支払いをしましょう。
我々専門家が銀行口座の名義変更手続きを行うと,慣れているぶん早く終了できると思います。暇が無いケースや急ぎの場合は,利用を検討してみてください。
葬儀にかかった領収書を保存しておきましょう
葬儀にかかった費用の中には,相続税の算定の際に相続財産から控除できる費用が存在します。
下記は,国税庁のページの引用です。
No.4129 相続財産から控除できる葬式費用 [平成25年4月1日現在法令等]
相続税を計算するときは,一定の相続人及び包括受遺者が負担した葬式費用を遺産総額から差し引きます。
1 葬式費用となるもの
遺産総額から差し引く葬式費用は,通常次のようなものです。
(1) 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬,納骨をするためにかかった費用
(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)
(4) 葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用
(例えば,お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
(5) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
2 葬式費用に含まれないもの
次のような費用は,遺産総額から差し引く葬式費用には該当しません。
(1) 香典返しのためにかかった費用
(2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3) 初七日や法事などのためにかかった費用
(相法13,相基通13−4~5)
これらの判断はとても難しいと思いますので,全ての領収書を保存しておいて,後日,税理士さんか税務署に相談されるのがよいかと思います。
お寺の費用などの領収書が発生しないものも,金額と日付を控えておくと葬儀費用として,相続税の算定の際に相続財産から控除できるかもしれません。
上記は相続税のお話,では遺産分割のときは葬儀費用はどう扱われるのでしょうか?
遺産分割では,葬儀費用は原則喪主が支払うものという判例が出ています。
(名古屋高等裁判所平成24年3月29日判決)
喪主さんが何も言わずに葬儀費用を支払った場合は,他の相続人に支払ってくださいと請求するとか,遺産分割の時にその分多く貰うといったことができません。
ですから,喪主さんが一人で葬儀費用を負担するのがいやな場合は,葬儀を執り行う前に,喪主になられる方が他の相続人に一言,葬儀費用を遺産から控除することを伝えるか,相続人全員で分担することを合意しておく必要があります。
ご注意ください。
当事務所では,ご依頼者様のご意志を実現するため,相続手続のお手伝いをしております。
ご依頼者様のご要望に応じて対応させていただきますので,お気軽にお声かけ下さいませ。
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